注目の新刊82冊(2015年5月)

更新日:2015/6/3

飯嶋和一の6年ぶりの長編『狗賓童子(ぐひんどうじ)の島』がついに刊行された。隠岐を舞台に大塩平八郎の乱のその後を描く。大塩とともに挙兵した西村履三郎の長男常太郎は隠岐に島流しにされる。大塩の義挙に共感する島民に暖かく迎え入れられた常太郎はやがて医師の道を志す。倒幕の動きが活発化し、国のあり方を変えようとする激動の波は隠岐にまで届きはじめ――。飯島作品にハズレなしと言われ、重厚かつリーダビリティにあふれる作品を生み出してきた飯島和一。今回も傑作です。