美魔女ブームに異議アリ! “女の賞味期限”の乗り越え方

暮らし

2012/11/16

 「美魔女」が新語・流行語大賞にノミネートされたり、お笑い芸人と熟女タレントの歳の差熱愛報道がされたり、今年は中年女性が注目される機会が多かった。しかし実際は、中年女性が20代の女性と遜色ない美貌を維持していたり、20歳以上年下の男性と浮名を流したりする姿はあまり見かけない。むしろ美魔女という言葉が独り歩きし、熟女讃美が活発になっている現状に、違和感を覚える人が少なくないのではないだろうか。

 その漠然とした違和感を言語化したのが、フェミニズム界の大御所・上野千鶴子とカルチャー界を牽引する著述家・湯山玲子による対談集『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)。女と男をめぐる「不都合な真実」と「その先の幸福」について歯に衣着せぬ発言が続く本書にあって、“中年女性におけるセックス”をテーマにした箇所では、美魔女ブームの根源にある、「女の賞味期限」問題に踏み込んでいる。

 美魔女について「何が気持ち悪いって、その年になってもまだ選ばれる花でいたい、男から手折られたい、という感性のあり方がイヤ」(湯山)と一刀両断。あくまで欲望の主体は自分にあるべきと説き、「自分が賞味期限を過ぎて、男が向こうから来ないんだったらこっちから行けよと思うわけですよ」(湯山)、「カネと権力で釣ってもいいじゃないね(笑)」(上野)、「若い男が見向きもしなかったら、頭を下げてやってもらうぐらいでも、いいんじゃないでしょうか」(湯山)と、美魔女に代表される“男性に求められる女性”という熟女の図式を壊すことが熟女の自然な生き方だと話す。特に、カネと権力で異性を落とすというのはこれまで男性が用いて来た常套手段であり、なんら難しいことではないという主張は説得力がある。

 同時にふたりが提言しているのは、女性が「断られる経験」に慣れておくこと。「年取ってるんだから、若い男に断られるのは当たり前」(湯山)ということを認識し、ご飯を誘う感覚で声をかけて、断れても自身の存在を全否定されたと思ってはいけないというのだ。

 確かにこれらを実行できれば、熟女と呼ばれる中年期になってもオンナを謳歌できるはず。しかし、これまでの思考を切り替え、男性に自分から頭を下げ、断られても気にしないというのはハードルが高い。本書はそう尻ごみする人のために、自己の快楽とそれにブレーキをかける心理の正体を解きほぐし、女性がこの時代をサバイブするためのヒントを提示している、“新しい女性”のための教科書なのである。