ソーシャルメディアの力で図書館は変わるか? 第14回 図書館総合展が開催

文芸・カルチャー

2012/11/22

 11月20日(火)から22日(木)の3日間、パシフィコ横浜にて『第14回 図書館総合展』が開催された。

 図書館総合展とは、図書館を利用する人や、現場で働いている人、施設に関わる仕事をしている人たちが集まり、図書館の今後について考えるイベントだ。第14回となる今年は、出展者ブースは134ブースと過去最高を記録し、図書館職員だけでなく行政関係者や美術館、博物館、大学、自治体など幅広い分野より注目を集めているという。

 出展スペースでは、蔵書や文化財をカビから守るための特殊な設備や、書籍の落下を置くだけで防止することのできる「スベリ止めストッパー」、最新鋭のセキュリティーゲートなど、普段はあまり注目することのない図書館設備の展示がみられた。

 また、文化財産をデジタルアーカイブ化するための最新テクノロジーや、クラウド設計による図書館運営システム、電子書籍をインターネット経由で利用できる図書館サービスの紹介など、ウェブと組み合わせた新しい図書館のあり方をプレゼンテーションする企業や団体も多く出展していた。

 さらに、開催中は図書館をテーマに様々な切り口で語り合う「フォーラム」も同時に行われており、最終日の午後には、『津田大介と語る図書館』というフォーラムが行われた。登壇者は、津田大介氏(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)、田邊 稔氏(国立情報学研究所特任技術専門員)、日向良和氏(都留文科大学図書館学講師)、Myrmecoleon(みゃるめこれおん)氏、岡本 真氏(アカデミック・リソース・ガイド株式会社代表取締役/プロデューサー)の5名。

 前半は、津田大介氏が現在のソーシャルメディアの現状について分析した上で、現在の情報とうまく付き合うためには、人と人とをつなげる場所が必要であると考察。そうした場所として、大量のデータベースと、人と交流できる空間、レコメンドしてくれる司書といった職員がいる図書館をうまく利用できないかと提案した。

 後半は、講演を元に5人でのトークセッションが行われた。「図書館で(Twitterの)公式アカウントを持つかどうかで揉める」、「図書館職員が現状では身動きがとれない状態にある」、「年齢の高い図書館職員には、ネットに対して知識不足や偏見がある」といった現場の苦悩が明かされる一方で、「ソーシャルメディアと図書館は親和性が高い」、「レファレンスの機能を活かした図書館司書によるビブリオバトル(ディスカッションを含んだ書評パフォーマンス)をおこなうのは面白いのでは?」といった前向きな話もなされ、現状が固着している図書館の現場にソーシャルメディアを取り組むことで変化を起こそうとする姿勢も見られた。

 わたしたちの身近にある図書館、その現場も現在の状況の中で静かに変わろうとしていることが、今回の「図書館総合展」から見え始めている。

文=ゆりいか