高学歴女子は“ママガール”になれないのか!?

更新日:2012/11/29

 ママになってもかわいくありたい――。そんな欲望に寄りそったファッション誌『mamagirl』(エムオン・エンタテインメント)が初刷の12万部を完売し、話題を集めている。同誌がタイトルにもつけている読者“ママガール”は、育児をしながらも仕事を持ち、精神的にも経済的にも自立していて、自分のセンスを生かしたライフスタイルを確立している母親たち。つまり、子どもを持った途端、“○○ちゃんのお母さん”になってしまう女性がほとんどだったこの国に、いよいよ女子としての日常を自由に謳歌する新しいタイプの母親が登場したということらしい。

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 もっともその一方で、未来のママガール予備軍ともいうべき若い未婚女性の多くは違う方向に向いているようだ。最近、少子化問題に詳しいジャーナリストの白河桃子が『女子と就活―20代からの「就・妊・婚」講座』(常見陽平氏との共著/中央公論新社)という新書を出版したが、同書によると、不景気で仕事を選べなかった現在20代の働く女性たちの多くは、「“可愛いママとして自己実現したい”と“専業主婦願望”を抱」いているという。

 東大や早慶の高学歴女子たちも例外ではないそうで、「有名大学の女子学生=総合職でバリバリ働きたいというイメージは、現実とは大きく異なって」いるそうだ。男勝りで、男、女に次ぐ第三の性とも言われる「ワセジョ(早稲田大学の女子学生)」でさえ就職活動で一般職を狙い、キャリア官僚だった東大卒女性は地方勤務で出会った男性と結婚し仕事を辞めるケースも多い。

 こうした傾向の要因について、白川は、仕事と子育てを両立している“バリキャリ”な先輩たちから「苦労自慢メッセージ」しか聞こえてこないこと、そして、そもそも有名私大や旧帝大に入学している女子は育った家庭に経済的な余裕があり、母親が専業主婦だったケースが多いことなどを挙げている。もっとも、いくら専業主婦願望が強くなったとしても、経済不況で年収の高い男性がどんどん少なくなっている現在、実際にその願望を実現できる女性はそう多くない。結果的には“ママガール”と同じく、育児をしながら仕事をする母親になる可能性が高い。とはいえ、保守的傾向の強い若い女性たちにとって共働きはやむにやまれぬ消極的選択でしかなく、“ママガール”のように自由な女子のライフスタイルを謳歌できるとは到底思えない。

 いやそれどころか、裕福な家庭で育った高学歴女子は自分の育った家庭環境や自身の高収入が基準になってしまうことから、結婚相手へのハードルが高くなり、結婚そのものが難しくなっている。本書でも、外資系企業に勤める慶應義塾大学卒の女性が自分と同じ年代・同じ年収(2000~3000万円)を求め、理想の結婚と現実とのかい離を嘆いている。

 では、高学歴の若い女子たちはどうすればいいのか。白河いわく、その答えはズバリ「大学までの在学中の婚活」! 世界の中でも高学歴女子の結婚率が高いアメリカでは、「在学中の配偶者サーチが盛んで同類婚をする可能性が高い」。確かに社会に出てから自分と近い価値観の男性を探すよりは、同じ大学で学んだ男性との方が共有できるものが多いのかもしれない。

 厳しい就職戦線への不安から、1年生、2年生から就活準備を強いられ、そのうえ婚活まで大学在学中にしなくてはいけないとは! 女子の人生、まるで無限地獄のようにも思えてくる。『女子と就活』は、こうした“結婚では食べていけない”厳しい時代をサバイブするための女子の人生ガイドブック。これを読んで、無限地獄に備えるか、いっそ降りてしまう覚悟をするか……女子の幸せはどっちだ。