あきらめたわけじゃない!? 結婚しない女性たち

恋愛・結婚

更新日:2012/12/3

 現在放送中のフジテレビ系列ドラマ『結婚しない』。菅野美穂演じる結婚にあせりを感じ始めた30代女性と、天海祐希演じる結婚をあきらめた40代女性が登場する。仕事に精を出しおひとり様を満喫するうちにその年齢を迎えた2人。同じ境遇にある女性たち(私を含む)の共感を呼び話題となっている。

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 多くの職場で産休や育休、復帰後の待遇など既婚女性が働きやすい環境が整う昨今、結婚しても仕事を続けている女性はたくさんいる。親にだって心配をかけているのは重々承知の上。それでも私たち未婚女性が結婚しないのは――。

 『結婚、しない?』(朝日新聞出版)では、菅野美穂と天海祐希が巻頭対談で30代・40代未婚女性の気持ちを代弁してくれている。彼女たちはこう言う、「結婚するか、しないかそんなにきっぱり決めなくてもアバウトでいい」。そう、今すぐ決める必要なんてないと思うのだが…。
 同書では、30代・40代未婚女性の実像を知るべく、彼女たちをあらゆる角度から徹底調査。これらを踏まえたコラムも満載だ。例えば、25~39歳シングル女性600人を対象としたアンケート調査では、「結婚願望は?」「過去に結婚を考えた交際相手は何人?」、「その人と結婚に至らなかったのは、どちらの判断?」など30項目の質問が投げられた。これらの集計結果から分かる未婚女性の実像とは、結婚したくてもできず、初めから結婚する可能性を低く見積もっているというものだった。

 結婚したいのに、なぜできないのか? これについては、心理学者・小倉千加子が『結婚の条件』(朝日新聞社出版局)で分析している。小倉は、人は「適当な洗濯機」は探せるのに「適当な結婚相手」は探せないという。洗濯機は一種が大量に生産されているし、価格・機能・容量がはっきりしていて、好みのものを手に入れやすい。それに対して、人間はひとりひとり異種製品。カタログであらかじめ好みの製品を探せない。機能は完備していても、デザイン(ルックス)が気に入らないということがあるし、理想的な商品はとっくに売却済み。未婚女性が結婚しない理由は、結婚したくても適当な相手にめぐり会わないからというわけだ。

 だからといって、「適当な結婚相手」を見つけるべく、婚活に必死になるのも早計のようだ。『婚活疲労症候群 なんでこんなにツライのか?』(高村 恵/マガジンハウス)では、婚活者が出会っては終わりになるということを繰り返すことで精神的なダメージを受け、気づけばうつ病という「婚活疲労」について説明している。この病気のために、2009年には日本で初めて「婚活疲労外来」が開設されたという。

 病気になっては元も子もない。そこで最後に、『あせるのはやめました 本日も独りでできるもん』(メディアファクトリー)を紹介したい。30代なかば・独身・彼氏なしの著者、森下えみこがその日常を描いたほのぼのコミックエッセイである。彼女は結婚をあきらめたわけじゃない。ひとり縁結び神社で「来年中に結婚できますように」などと神さまにお願いすることもある。だが、会社帰りにスーパーでひき肉の消費期限を見てその日がクリスマスイブだったことに気づいたり、法事のために帰った田舎でもはや結婚の話題が出なくなったことに喜んでみたり。あくまでマイペースな日々を送る彼女を見習いたい。

 あせって結婚に失敗したり、病気になったりするよりは、結婚というものに少しだけ距離を置いておきたいと思う。そして、きたるべき時に結婚できればいい――。

 こうして、やっぱり結婚しない女性たちは増え続けていくのだろう。(私を含む)

文=佐藤来未(Office Ti+)