滝クリやベッキーは少数派!? あなたの知らないハーフの現実

社会

2012/12/4

 テレビを点ければ、毎日といっていいほどハーフの芸能人を見掛ける昨今。タレントのベッキー、シェリー、トリンドル玲奈、モデルの水原希子、キャスターの滝川クリステル……。彼女らを見ては、彫りの深い顔立ちや神秘的な瞳の色、長い手足に憧れる人は多いのではないだろうか。英語や自身の母国語に堪能でコミュニケーション能力が高く、親しい友人たちとパーティーを楽しむ社交的な性格……とハーフに対する華やかなイメージは広がるばかりだ。

 そんな世間の“ハーフ妄想”に待ったをかけるのが、日独のハーフであるサンドラ・へフェリン氏の『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)。同書ではハーフの悲喜こもごもを交えながら、知られざる“ハーフの現実”を浮き彫りにしている。

 例えば、美貌と語学力のどちらも持っている「理想ハーフ」は少数派で、実際は「顔だけハーフ」「語学だけハーフ」「残念ハーフ」(=どちらの要素も持っていない)がほとんどだという。サンドラさんいわく「“ハーフ”ほど、イメージと現実が真逆な存在も珍しい」。だが、「理想ハーフ」こそがハーフの典型だと信じている多くの純粋な日本人(本書では「純ジャパ」と表現)のせいで、ハーフは日々「なんで英語ができないの?」「あんまりかわいくないね」と心ない言葉を投げかけられるというのだからやりきれない。

 さらに日常生活の中でも、純ジャパの“勘違い”のせいで物事はスムーズに進まない。マクドナルドで注文しようとするとメニューをひっくり返されて英語メニューにされるというまだ笑えるものから、「勝手に股間に『超巨大モンスターが付いている』と思われている」から大浴場では男性はタオルで鉄壁の守りをするといった困ったものまで。不動産屋では外国人だと勘違されて門前払いされそうになるなど、彼らの容姿が引き起こす問題は多様だ。

 これらのエピソードを読んでいると、被害に同情しつつもどこか他人の話のような気がするのだが、実は私たちの“無自覚”がハーフを傷つけていることも少なくない。サンドラさんが初対面の人に投げかけられやすい質問として挙げたのは、「両親のどっちが外国人?」「お父さんとお母さん、どうやって知り合ったの?」「国籍は日本?」などなど。サンドラさんが「私、10年来の友だちですら、ご両親の馴れ初めなんて知らないよ!」と言うように、国籍や両親の馴れ初めなどはとても個人的で初対面の人には話さないもの。にも関わらず純ジャパは“好奇心”に任せて相手の領域に踏み込んでしまうことが多いのだ。

 本書に書かれているように、ハーフは容姿や住む場所、言語によって常にアイデンティティーを問われ続ける存在でもある。それを意識・理解することが、ハーフの人との関係を作る上でのスタート。この本はハーフの現実を教えてくれるとともに、彼らと純ジャパのよりよいコミュニケーションのヒントを与えてくれるかもしれない。