たくさんのご応募ありがとうございました!『Mei(冥)』創刊記念! Twitterで怪談短歌コンテスト 受賞作発表!

Mei

2012/12/5

 女の子のための怪談雑誌『Mei(冥)』刊行を記念して、twitterで募集していた怪談短歌の受賞作が決定いたしました! 審査員の東直子さん、佐藤弓生さん、石川美南さんにそれぞれ選んでいただいた、各大賞作品と佳作、次点の作品を発表します。

(※募集期間=2012年10月19日~11月19日。20日付以降の投稿については、システムの不具合により『幽』編集部から代理投稿をした作品以外は、選歌対象外としました)

 受賞作は、12月9日(日)16時から立川のオリオン書房ノルテ店で行われるイベント「怖いお話、うたいましょう」で先生方に朗読していただきます!(イベントのご予約受付中! お問い合わせは同店へ)

  • 東直子さん
    (写真=小松勇二)
  • 佐藤弓生さん
    (写真=冨永智子)
  • 石川美南さん

 
[大賞・各1作]

【東直子賞・大賞】

NakaieNatsukoさん
悪夢から目覚めてママに泣きつけばねんねんころりあたまがころり

(選評)読み終わったあとの怖さがダントツ。まず悪夢という深層心理からくる怖い体験があり、それを癒してもらう「ママ」の、それも「子守歌」という心地よさを受けて恐怖を薄めたあとに来る「あたまがころり」。いったんおさまった恐怖が、何倍にもなって戻ってくる構造が巧みで、後を引いた。子守歌の旋律は、なぜかほのかな不穏感をともなっていることが多いが、それを短歌の韻律に組み込み、音からも怖さが伝わる。


【佐藤弓生賞・大賞】

numajiritsutakoさん
クロールのフォームを直してくれし手はまた水底へ消えてゆきたり

(選評)怪談とは、時間差の表現でもあると感じさせてくれた一首です。
ホラー作品では瞬時に「あっ!」と思う場面が欠かせないのに対し、この歌のように数秒後に「……え?」と気づいたり、後日「あのときのあれ、なんだったの?」と考えたりするような。
同じ作者の〈秋の陽はころがりおちて自販機のボタンに「なまぬる~い」が灯る〉〈朝食のちりめんじゃこにまぎれいる人魚いっぴき、海鳴りの宿〉も、怪しい景を垣間見させてくれました。


【石川美南賞・大賞】

fuyu_ayabeさん
何回も何回も飛び降りてなおみずからの死に気づかぬ燕

(選評)今回私が惹かれたのは、いわゆる「怖い」歌よりも、現実と非現実の境が曖昧になっている作品です。この歌も、現実の燕が滑空する様子を描写しているようにも読めるし、「あちら側」に踏み込んでしまっているようにも見える、その危ういバランスが良いと思いました。生の側にいるにせよ死の側にいるにせよ、一心に思い詰めたような燕の飛行は妙に切ないものです。これからは、燕の季節が来るたびにこの歌を思い出すでしょう。

 

[佳作・各2作]

【東直子賞・佳作】

kodemari315さん
あやとりの指絡みあう 押入れに誰にも言えぬ友だちはいて

(選評)表面的には楽しく過ごしつつ、その心のうちには暗い秘密を抱える人間の普遍的心理に響きます。あやとりが効果的。

tomo1217mokoさん
ずっと手をつないでいても踏切の途中でいつも体が消える

(選評)体は消えてもその存在は存続し続けることが、体感を通して伝わる怖さ。「踏切」がリアリティーを与えている。


【佐藤弓生賞・佳作】

kodemari315さん
木が風を作り出そうと揺れ始む 散歩をしてはいけない夜だ

(選評)禁忌の感覚が、怪談感覚に通じているようです。木が意志をもつところを人は見てはいけない……のでしょう。

oborooseさん
オバQはそうじゃないよとナミちゃんの描いたあの絵を忘れたかった

(選評)おそろしく下手な絵だったということでしょうか。しかしオバQは本来、おばけ。リアルおばけだったのかも。


【石川美南賞・佳作】

gatumaさん
あいさつをすれば案山子になるひとがまた一人いて雲の反照

(選評)自分のビジョンが間違っているのか、世界の側が間違っているのか、判別できない不穏さが魅力です。

amamizu333さん
絵皿から絵皿へうつるあのひとはいま古伊万里のはなびらまみれ

(選評)古伊万里の青が美しい。「あのひと」は見る人の心を奪いながら、幾時代も生き続けているのでしょうか。

 



多数のご応募をいただいたため、
受賞には至らなかったものの優秀な作品を、
次点としてご選出いただきました。


 

[次点・各10作]

【東直子賞・次点】
hiroshimayaさん
どこまでも折りたたまれてゆく父と折り目をつける母の饒舌

hachimoto8さん
青ざめた胸にスマホの光抱くうしろも前も狐火の道

s_hana111さん
Security Tシャツを着たおじさんが鍵穴通り過ぎ来る夕べ

aidana_tさん
ぼくのためだといいながら涙するママはきれいだどんなひとより

siorin_tiaraさん
あんなにも無視し続けたせいだろう安夫は君の影になったよ

t57577さん
永遠に友達だよね よせ書きにひっそりとある知らない名前

ikecyanさん
すれちがうひと全員が指差して教えてくれた道だったのに

suidologyさん
世界新100メートルを走り切りそのまま空へきえたあの人

graddymanさん
ごめんなさいごめんなさいが十続きすきま風の声のみ残る

kino112さん
雨ですね。上半身を送ります。時々抱いてやってください。

mymhndさん
ねえさんはずつとあなたを待つてゐた冷めないうちにお食べください
 


 
【佐藤弓生賞・次点】

amamizu333さん
絵皿から絵皿へうつるあのひとはいま古伊万里のはなびらまみれ

gatumaさん
あいさつをすれば案山子になるひとがまた一人いて雲の反照

hachimoto8さん
化かされた朝のおはようございます。空に大きな穴があります。

ikecyanさん
朝凪の渚わたしが何体も打ち上げられて陽を浴びている

mametaro_uさん
雨の日にかけてはならぬレコードがあるといわれている放送室

mikutukiさん
魂を乗せた小箱を取り落とし最終列車の連結部分

miso1mojiさん
満員の電車でぽっかり空いた席だれかいるから誰も座らず

mushitakeさん
暗がりに足首のみを光らせて修道女(シスター)たちは近づいてくる

nekoharusameさん
足入れた 炬燵の中の 体温が 猫でなければ なんであろうか

purple_asterさん
枯れ蓮の池ゆ起ちくる影あまた天をおほひぬ夜の公園
 


 
【石川美南賞・次点】

toki_aさん
アパートのドアに下がった袋には心当たりの無い卵二個

hasnan_mhdさん
午前二時湾岸二号二百キロ フローレンス・ジョイナー型おばあちゃん

numajiritsutakoさん
僕の名のすぐあとに君の名があった黄ばんだ貸出カードすべてに

t57577さん
非通知の間違い電話のはずだった 切り際わたしの名を呼ぶまでは

ODA_ledaさん
さぼてんの棘をぬいてくさぼてんの棘を正しくさぼてんにさす

mushitakeさん
購った少女の身からぼとぼとと肉と金具が床にこぼれる

t_kaketakaさん
お母さんお願ひだから生卵 殻附きの儘 呑むのを止めて

bit_310さん
呼ぶ声をきいて何度もふりかえる 長い階段だなあと思う

mikutukiさん
魂を乗せた小箱を取り落とし最終列車の連結部分

tsujichiroさん
明け方の生ゴミ袋がひたひたと通行人の後をつけてる
 


 
沢山のご応募ありがとうございました。