前頭葉の老化が原因? 増加する「暴走老人」とのつきあい方

暮らし

2012/12/8

 東京都知事を辞職し、国政復帰を宣言した石原慎太郎。この一連の動きに対して田中真紀子が「暴走老人で大変だ」と述べたことから、いまやすっかり「暴走老人」が石原のキャッチコピーになっている。

 しかし、この暴走老人という言葉は、石原のために編み出されたものではなく、2007年に作家の藤原智美が発表した『暴走老人!』(文藝春秋)がもともとの由来。ささいなことで突然怒りを炸裂させる老人を「新老人」と名付け、その実態と彼らを生み出している社会背景について考察した本書は、大きな話題を呼んだ。御年80歳にして、身を引くのではなく新党の代表になってしまうという石原の血気盛んな行動力も「恐ろしい子……!」と言わざるを得ないが、本書で取り上げられている老人たちの暴走ぶりは、なんともすさまじいものなのだ。

 たとえば、コンビニで立ち読みを注意され逆上し、チェーンソーを持ち出して「バラバラにしてやる」と脅した者。不仲だった人と居酒屋で顔を合わせて言い争いになり、自宅から散弾銃を持参し、相手を射殺した後に自殺した者。これらの実際に起こった事件は、まるでキレやすい若者を象徴するような事例だが、両方とも60代後半~70代による犯行だという。一般的に、老人とは「分別があってしかるべきとされる」もの。それゆえ、老人による暴走は不可解で、さらに怖い印象をもってしまう。こうした暴走老人が、いま、増えているというのだ。

 では、暴走老人をどのように対処すればいいのか。『困った老人と上手につきあう方法』(和田秀樹/宝島社)によれば、感情を爆発させる老人には「日頃から機嫌をとって」おき、イライラ感を引き起こしている原因のひとつであるセロトニン不足をカバーするため、「積極的に肉類を食べさせるというテクニック」が使えるらしい。また、愚痴や文句が多いタイプには、ひとりで抱え込まず、「うまく分業して負担を分け合う」ことが大切。老人の集いなどにも積極的に顔を出してもらい、出不精ならば趣味を見つけさせるのも有効だそう。

 そもそも、老人が「傍若無人な振る舞いや横柄な態度、攻撃的な言動」に出てしまう大きな原因のひとつは「前頭葉の老化」にあると本書には書かれている。また、前出の『暴走老人!』は、ケータイやインタネットなどの情報技術の進歩や、それによるコミュニケーションの変化が、老人たちにも影響を与えているのではないかと示唆。また、たとえば喫茶店とスターバックスではルールが違うように、次々と移り変わる「新常識」に順応できないことも、情動を爆発させるきっかけになっているのではないかという。

 生きづらい世の中だといわれる現代。老人たちの暴走が増加しているのは、もしかすると世知辛い社会への抵抗なのかもしれない。