大ブームのLINEがもたらす“二つの終焉”とは?

更新日:2012/12/12

 スマートフォンを中心にメッセージ&電話アプリとして爆発的に広がっているアプリ「LINE(ライン)」。11月30日時点で会員数8,000万人を突破、国内の会員数だけでも3,600万人をそれぞれ超えており、30歳未満の若年層の間では、既存の電話や携帯メールに変わる存在になりつつあるという。

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 人気ブログ「ネタフル」を運営するコグレマサト氏とジャーナリストまつもとあつし氏の共著『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』(マイナビ新書)では、LINEブームを分析し、なぜここまで注目されるのかということやその活用術、そしてそこにひそむ課題などを解説しているが、その中でLINEが“二つの終焉”をもたらすという未来予想図が非常に興味深い。

 同書によれば、まずはじめに終わるのが電話。これは、音声通話、SMS、コンテンツサービスといった、国内ではキャリアが主導してきた3つの領域をLINEなどが置き換えつつあり、いわゆる「キャリアの土管化」が起こるからだ。この指摘はLINEユーザーであれば実感しやすいだろう。一方、「オープンなWEB」もいずれ終るとしている。これは一体どういうことなのだろうか?

 Twitterでは、つい先日の地震の際に起こったデマ救助要請のような偽情報が出回ることや、失言などで有名人だけでなく一般人のアカウントまで炎上することがもはや日常的となっており、「気持ちのいい空間」とは言えなくなってきている状況だ。一方、実名だから荒れにくいとされたFacebookも、自分の発言が知人・友人を通して誰に読まれるか分からない場のため「気遣い」が求められ、結果として「ソーシャル疲れ」を起こすという別の問題もある。進化し便利になるはずのSNSが、なんだかより不自由になりつつあるというのだ。

 これらのサービスに共通するのは行き過ぎたオープンさ。パブリックな場が広がれば広がるほど、そこに居心地の悪さを感じはじめた層が、クローズドなコミュニケーションの場を求めるようになり、結果、LINEのような狭い範囲でつながる場を「気持ちのいい空間」として選択するという揺り戻しが起こるのではないか。そして、このようにいったん閉じたネットが、徐々にオープンに向かうとき、ようやく安心して使用できる空間として再構築されるのでは?と著者の2人は結んでいる。

 もちろん個々のユーザーの情報リテラシーの向上も求められるところだが、「気持ちのいい空間」としてのネットとはどういうものなのか考える時期が来ているのかも知れない。