日本に元気を与えてくれる!? サラリーマンが空を舞う写真集が話題

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 消費税は増税、ボーナスも毎年減少傾向、大手企業も赤字続き、生活保護受給者は毎月のように過去最多を更新……と、暗い話題が続いている日本社会に、なんとも素敵な写真集が登場した。12月6日に発売されたのが『跳ばずにいられないっ! ソラリーマン ジャパン・ツアー』(徳間書店)である。

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 撮影をしたのは、青山裕企氏。HKT指原莉乃や女優・吉高由里子などのフォトブックも手掛けた人気写真家だ。スカートとひざ上ソックスの間に生まれる太ももの生脚部分をとらえたフェチ写真集『絶対領域』(一迅社)なども話題を集めた。なかでも彼がずっと撮り続けているのが、“記号と個性”に焦点を当てた作品。顔を隠した女子高生の制服という記号性を前面に押し出した『スクールガール・コンプレックス』(イースト・プレス)や、サラリーマンのスーツという記号化された存在を“跳ばす”ことによって個性を切り出した『ソラリーマン 働くって何なんだ!?』(ピエブックス)がその代表作だ。今回紹介する本はその『ソラリーマン』の第2弾だ。

 同書では全国のサラリーマン総勢108人が跳びまくっている。

 職業はソフトウェアエンジニア、新聞記者、運送業経営者、書店員、アパレル営業、百貨店勤務、清酒製造業、税理士、建設会社社員、ラジオ局ディレクター、牛乳屋社長、鞄メーカー営業、青果店経営者、農業……と多種多様。なかには今年11月に本店が閉店して話題になった人気ラーメン屋「なんでんかんでん」の名物社長・川原浩史氏や、日本初のメジャーリーガーであり野球解説者の村上雅則氏、そしてTVキャスター・草野仁氏までもが、各人各様にジャンプ。

 日常、駅などで見かけるサラリーマンの鬱屈したイメージからはかけ離れたそのユニークな跳び姿を一目見れば、自然と笑顔がこぼれてしまう。大人になると日常でジャンプなどしないし、体力の衰えてくる年代にとっては相当な“頑張り”が必要と思われるからなのか、なんだか元気をもらえてしまう。

 なかには大学教授が無表情の生徒を前に教壇で跳んでいる姿や、僧侶がスキップしているような跳び姿、未来の日本社会の担い手である大学生たちの姿も。他のソラリーマンたちよりも真面目な印象を受けるその跳び姿に、日本の将来への安心感すら覚える。

 ソラリーマンたちが支える日本社会も、近いうちに(いい意味で)ガンガン跳んでいってくれるに違いない。そんな風に思えてならない、不思議な写真集である。

廣野順子(Office Ti+)