参加者は780万人! 日本全土を舞台にした“究極の殺戮ゲーム”

マンガ

更新日:2012/12/26

 2009年の連載開始からわずか1年で閲覧数1500万以上を記録し、現在ではその数2000万人を超える携帯小説が、満を持してコミック化された。それが『サバンナゲーム The Comic』(春乃えり:イラスト、黒井嵐輔:原著/小学館)だ。

advertisement

 派遣社員で日々を食いつなぐ主人公、渋谷和也は、ある日1通の一斉メールを受信する。そのメールの内容は、政府公認の殺戮、生き残りゲーム「サバンナゲーム」への参加募集だった。和也は自分の人生を変えるために、同級生や幼なじみとチームを組んでこの苛烈な戦いに参加。最初は戦いや殺人行為に怯えながらも、次第にゲームにのめりこんで行く。

 このサバンナゲーム、基本ルールはこれまでの殺戮ゲームものと大差ない。参加者同士で殺し合いを繰り返し、たったひとり生き残ったもののみが、富、地位、名誉、いかなる望みも叶えられる。

 だが、衝撃的なのはその規模だ。舞台は日本全土、参加者数はなんと780万人以上! 日本の人口が約1億2千万人だから、約16人にひとり。これはつまり、日本中のあらゆる場所が修羅場になっているということだ。学校でも、会社でも、電車でも、ショッピングモールでも、映画館でも、常にバトルが繰り広げられ、東京ドームでは野球を観ながら3000人が殺し合い、商店街はおばさんたちの阿鼻叫喚とともに大根や魚やお惣菜が飛び交う戦場と化している。コンビニなんて、とてつもない危険地帯だ。もしかしたら、隣で『週刊少年ジャンプ』を読んでいるやつが、『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)の続きを気にしながら、ふところに武器を持って襲う隙をうかがってるのかもしれない……。

 想像するだけでゾクゾクしてくるような設定だが、このスケールの大きい『サバンナゲーム』をさらに魅力的にしているのが、物語のいたるところにちりばめられている謎の数々だ。

 たとえば、第1巻では途中、「新撰組」という謎の組織が現れるのだが、なぜかこの組織には土方歳三、織田信長、聖徳太子といった、歴史上の人物が名前を連ねている。

 他にも、大阪では「黒の盗賊」というサバンナゲームプレイヤーを狩る集団がいたり、和也に支給された装備品「闇刀」がまるで意思をもっているかのように和也に語りかけてきたり……。

 そしてなにより、最大の謎はこのサバンナゲームの真の目的だ。いったいなぜこのようなゲームが開催されることになったのか、そしてサバンナゲーム運営委員会の内部で時おり口に出される「あの方」とは……。

 原作はすでに最終決戦に突入しているが、コミック版はこれからが佳境。隠された謎と、息をもつかせぬ展開の連続に、思わず作品に惹き込まれてしまうこと間違いない。

 あなたも780万人以上が参加する殺戮ゲームの観戦者となって、このゲームがどんな結末を迎えるのか、ぜひ見届けてほしい。