少女マンガで最もネガティブなヒロインは誰だ?

マンガ

更新日:2012/12/28

 少女マンガのヒロインといえば、明るくて友だちも多く、みんなから好かれる人気者が定番だった。しかし、最近では友だちもつくらず、恋愛することをはじめから諦めているようなネガティブヒロインが増えてきているようだ。そのなかでも、特にネガティブな言動を繰り出しているヒロインは、一体誰なのだろう?

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 まずは、『となりの怪物くん』(ろびこ/講談社)の主人公である水谷雫。彼女は自分の成績にしか興味がなく、友だちがいなくても人に嫌われてもなんとも思わないという冷めた女子高生だった。彼女は、小学生の頃に父親と交わした約束が果たされなかったことが原因で、何に対しても期待することをやめてしまったのだ。自分ではネガティブだと思っていないかもしれないが、はじめから何にも期待せず諦めてしまうあたりは、やはりネガティブと言わざるを得ない。

 また、『ひよ恋』(雪丸もえ/集英社)では、何かあるとすぐにロッカーの中に隠れてしまうような超人見知りの主人公・西山ひよりが登場する。入学早々、事故に遭って入院していた彼女は、とっくにケガが治っていたのに教室に入るのが怖くて12月まで不登校状態に。さらに、恋をしても、大好きな男の子のために用意したテスト対策のノートも渡せず、花火大会に誘うこともできない。自分に自信がないため告白もできず、そのあとどうしたらいいかもわからない……典型的なネガティブヒロインなのだ。

 そして『好きっていいなよ。』(葉月かなえ/講談社)には、「友達なんてあたしには不必要」と言って、16年間彼氏も友だちもつくらずに生きてきた高校生・橘めいが登場。クラスメイトにからかわれたり、いじめられても何も言わずにただ受け流して生きてきた彼女は、学校中の人気者で、イケメンの大和と付き合うことになってからも、周りから陰口を言われて自分は彼に不釣合いなんじゃないかと悩んだり、相手に聞きたいことも聞けず、いろいろと溜め込んだりしてしまう。人を遠ざけて生きてきたせいで、人との距離が上手くとれなくなってしまったのだ。

 さらに、『マイルノビッチ』(佐藤ざくり/集英社)には毒キノコとあだ名されるヒロインが出てくる。男子が自分を見ると指を指して笑ったり、気持ち悪がってスルーしたりするのも、兄が自分に対して厳しくあたってくるのも、全部自分がブスだから。そう思って生きてきた主人公の木下まいるは、「ブスなのにかわいい名前でごめんなさい」「ブスなのに女子高生でごめんなさい」なんて言っちゃうほどネガティブ。自分がブスだということを言い訳にして、こんな自分が恋愛するなんてちゃんちゃらおかしい、と思っていた。しかし、あることがきっかけでキレイに変身したのだが、それでもネガティブ思考は変わらない。男子にメアドを聞かれたときも、自分に興味があるフリをして笑いものにしようとしているヤツだと思い込んでしまうのだ。

 でも、やはり最もネガティブなのは『シュガー・ソルジャー』(酒井まゆ/集英社)の如月真琴だろう。幼い頃から有名モデルの姉と比べられて生きてきた彼女は、「可愛い」は姉のためにある言葉で、自分なんかは絶対にお姫様にはなれないと4歳の頃から悟ってきた女子。そんな彼女だから、深く染み付いた日陰者根性がなかなか治らない。クラスメイトとアドレス交換するときも、自分のアドレスがダサくないかと悩んでいるうちに教えるタイミングを逃してしまう。また、好きな人に告白しようとした時も「みんなに優しいのにいちいち真にうけちゃって何なのコイツ?」とか「お前とつきあったところで俺に何のメリットがあんの?」と思われているんじゃないか……と被害妄想が炸裂してしまうのだ。

 恋をすれば、人は臆病になってしまうもの。傷つくのが怖くて、周りに壁を作って生きてきた彼女たちなら、なおさら。でも、それを乗り越えなければ、人と関係を結ぶことも、幸せになることもできない。ヒロインがネガティブであればあるほど、当然その壁は高くなるのだが、だからこそ、読者も勇気をもらえるのだ。
 「自分はネガティブ」と自負する人には、ぜひ恋愛参考書として読んでほしい作品たち。しかし、ネガティブな部分で共感しすぎると前に進めなくなるので、ご注意あれ!