紅白衣装対決の前哨戦!? きゃりーVS美輪明宏 カワイイ決戦

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更新日:2013/1/10

 大晦日の恒例番組といえば、NHKの『紅白歌合戦』。とくに今年は、初出場のきゃりーぱみゅぱみゅ美輪明宏の“新衣装対決”が話題になっており、記者会見でも「いままで見たことがない衣装を」ときゃりーが発言すれば、美輪も「衣装はヌードです。鬼が出るか蛇が出るかどうぞお楽しみに」と期待を煽った。

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 しかし、じつはこの2人、原宿ファッションが大好きな女子のためのムック『原宿女子~原J』(光文社)でニアミス済み。きゃりーが表紙とグラビアを飾り、美輪は巻末の「美輪さまの館」と称したページで、“ビジュアル系の元祖”として「カワイイは日本人だけがもっている美意識よ」と述べているのだ。原宿ファッションとビジュアル系……方向性は微妙に違えど、何やら2人には共通点がありそうだ。そこで今回は、大晦日に備えてきゃりーと美輪の著書から、それぞれのファッション観を探ってみたい。

 まずは、きゃりーの『Oh! My God!! 原宿ガール』(ポプラ社)から。高校まではファッションに興味はあっても「はっきり『こういう服が着たい』という意思みたいなものはなかった」というきゃりー。友だちの影響で、どちらかというとギャル系だったらしい。しかし、高校1年の秋に原宿で声をかけられ、雑誌のスナップに出たことから「どういうコーディネートがおしゃれかな」と考えるようになったそう。

 きゃりーのおしゃれの秘訣は、「自分が好きな服を着ること」。お手本にしてるのは、“遊び心たっぷりで色づかいが斬新な”1960〜80年代のファッション写真と、レディー・ガガをはじめとする洋楽のPV。また、母親の影響も強く、おしゃれに目覚めてからは母親が若いときに着ていたカラフルな洋服や靴を借りるようになったという。「人と絶対かぶりたくない!」と語気を強めるきゃりーにとっては、「お母さんの服なら、何十年も前のデザインだから誰かとかぶることがほとんどない」のも大きなポイント。お金をかけず、工夫することで個性を出す……そんなきゃりーのファッション観がよくわかる。

 一方、美輪は『天声美語』(講談社)で、「お洒落に法則なし」と説く。しかし、シンプルなオシャレを強いる評論家には手厳しく、エリザベス女王を例にとって「ティアラ、イヤリング、ブローチ、ブレスレット、指輪……とすべて身につけた満艦飾。それこそが正式で王道だということを、かわいそうに、自分たちの姿をタナに上げ、貧乏くさいえせ評論家たちは知らずにいるのです」とメッタ斬り。「装飾過多。楽しくって大いにけっこうじゃありませんか」「“いったい何だろう”と思わせるのが遊び心で、それが許される“個”を確立していくことがお洒落になるということです」と述べている。また、前出の『原宿女子』のインタビューでも、美輪は、日本の「幽霊や怪物でさえユーモラスに面白おかしくするセンス」が受け継がれ、いま、原宿のカワイイ文化として開花したと分析。「日本もカラフルな時代になってきて嬉しいですね」と喜んでいる。

 きゃりーと美輪の“新衣装対決”は、いまや世界に誇る原宿ファッションのポップアイコンと、唯一無二の美意識で“個”を貫いてきた先人が相対するという、なんとも運命的で歴史的な巡り合わせ。とくに「みんなと違うことをするのが怖い」という同調圧力が強まっている昨今、2人の“多数派に左右されない”態度は清々しいもの。さて、いったいどんな満艦飾が観られるのか。大晦日が楽しみだ。