日本がダメなら世界進出!? 新しい「婚活」のカタチとは

恋愛・結婚

2012/12/27

 すっかり一般化した「婚活」という言葉。今では多彩なバリエーションも生まれ、恋愛ルポライターが結婚成就に御利益があると評判の寺社をめぐる『婚活の神様!』(にらさわあきこ:著、さかもとさくら:イラスト/幻冬舎)や、マッチングアプリを活用した具体的なノウハウが満載の『facebook 恋活・婚活 「Omiai」が変える新しい恋活・婚活のカタチ』(宮本邦久:著、瀬尾麻美:著/マガジンハウス)など、様々なアプローチの婚活本が出版されている。

 そんな婚活シーンの発展をさらに一歩押し進める本が登場。若きラブジャーナリスト・中村綾花による『世界婚活』(朝日出版社)だ。

 津田大介やChim↑Pom、園子温など、今をときめくユニークな執筆陣と洗練されたブックデザインで話題のレーベル「アイデアインク」より発売された本書は、「これからのアイデア」を提供するというレーベルのコンセプト通り、“新しい婚活のカタチ”を提示してくれる。

 著者は1980年生まれのアラサー女子で、3年前に日本を飛び出し、アメリカからヨーロッパ、はてはアフリカまで、各地をめぐりながら運命の人を探す「世界婚活」の旅に出た。なぜこんな破天荒な行動に出たかといえば、背景に“結婚への焦り”があった。

 日本で働いていた頃の著者は、テレビ業界や出版業界といった過酷な職場に身を置き、恋愛もままならない毎日だったという。迫り来る30歳という大台、先の見えない契約社員という身分。男性からまるでモテないし、このままでは一生孤独のままかもしれない。友達はどんどん結婚していくし、親からのプレッシャーもどんどんキツくなる一方。結婚さえできれば、すべてが解決するのに…。

 そんな風にドンづまりまで追い詰められた筆者は、ひとつのアイデアにたどり着く。日本でダメなら、世界で婚活すればいいじゃないか──。こうして始まったのが世界婚活の旅だ。

 飛び出した先に待っていたのは、その疾走感あふれる文体からも見て取れるように、発見と驚きに満ちた毎日だった。ニューヨークで初めて彼氏ができ、ロンドンでは男子が草食化していることを知り、ミラノで経験豊富なイタリア女子と恋愛談義に花を咲かせ、バングラディッシュではピュアな現地男性を勘違いさせてしまう。世界の放浪記に「婚活」という軸が入り、各国の恋愛観を学べる貴重な資料としての価値も帯びている。

 そして筆者はとうとう、パリで運命の男性にめぐり会う。そのスウィートでときめきに満ちたなれそめはぜひ本書で味わって欲しいが…最も興味深かったのは、筆者の中に起こった「結婚観の変化」だ。

“「結婚すればすべてオーライ。私は幸せになれる!」……わけないじゃん! ”

 最後、筆者はこのような実感に行き着く。結婚は単なる制度であり、最愛の人と一緒にいるための手段にすぎない。結婚後も淡々と生活は続き、夫との価値観を日々すり合わせ、食い扶持を稼ぎ、人生の諸問題と向き合っていかなければならない。そんな現実的すぎる気づきで結ばれるところに、本書の魅力が宿っているような気がする。

 海の向こうに目を向けてみれば、無限の出会いが待っているかもしれない。狭い日本で凝り固まった結婚観を、解きほぐしてくれるかもしれない。新たな可能性を示す『世界婚活』というアイデア。海外で過ごす人も多いであろう年末年始に、ぜひオススメしたい1冊だ。

文=清田隆之