いまだ鉄板!? ボロアパートと同居人の美女

エンタメ

2013/1/9

 主人公・五代裕作が住む古ぼけたアパート・一刻館。そこに、新しい管理人として入居してきた美人の未亡人・音無響子とのラブストーリーが展開される『めぞん一刻』(高橋留美子/小学館)。すでに20年以上前に完結している作品としては異例とも言える根強い人気を誇り、アニメ化以外にも、実写映画化、ドラマ化、さらにはパチンコ、パチスロなどにも登場している。

 この“貧乏アパート+美女との出会い”という図式は、最新のコンテンツにおいてもいまだ耐えることがない。現在、アニメも放送中のライトノベル・『さくら荘のペットな彼女』(鴨志田一:著、溝口 ケージ:イラスト/アスキー・メディアワークス)をはじめ、マンガでも『イモリ201』(今井ユウ/講談社)、ちょっとエッチなところで『彼女の鍵を開ける方法』(中田ゆみ/秋田書店)など、いまだに青春恋愛ストーリーの鉄板として随所に盛り込まれているのだ。

 その共通する魅力は一体何なのか? やはり好きな女の子とひとつ屋根の下に近いシチュエーションで暮らす、ということが第一であろう。学校や職場だけにあらず、生活の場が同じであれば、着替えや食事、お風呂、さらなるエッチな展開等々…。日常の際どいところに接点の可能性ができる。これは経験がない男性読者にとっては究極の憧れだ。たとえば、『イモリ201』の主人公・川島桃太郎は、隣室の21歳無職で酒が大好きな「自称・女子高生」井森マキに『めぞん一刻』の四谷ばりに部屋の壁をぶち抜かれても、怒るより妄想を膨らませ、その後酒代やつまみ代をたかられる運命になることもつゆ知らず、喜んで状況を受け入れている。

 また、“貧乏”という生活環境も重要なポイント。本家『めぞん一刻』の主人公・五代裕作も貧乏苦学生であったことで、ヒロイン・音無響子から食事や掃除など生活の世話を多々施されていたが、『彼女の鍵を開ける方法』でも、主人公の広瀬春馬が料理上手のヒロイン・早嶺ちとせから、時には裸エプロン姿で(!)手料理を作ってもらっている。逆に『さくら荘のペットな彼女』では、ヒロインである椎名ましろが生活力がまったくない無垢な天才画家であり、主人公の神田空太がパンツを履かせるところから世話を焼くなど、男女の関係が反対になっているものもあるが、生活の中で協力し合うという意味では変わることのない共通項といえるだろう。

 そして、もうひとつ重要なのが、主人公とヒロイン以外の個性あふれる同居人や知人の存在だ。恋のライバルとなる女の子や、主人公とヒロインの関係を面白おかしく引っかき回す人たちによって、ストーリーがより盛り上がり、2人の仲も進展していく。

 とはいえ、『めぞん一刻』連載当初の1980年代ならまだかろうじて残っていたこうした環境は、現代社会においてはさすがにリアルとは程遠い。にも関わらず、無理にでもこの設定を成り立たせているのは、制作者サイドの熱い魂によるところであろうか。

 「好きな娘とひとつ屋根の下」、「貧乏生活により生まれる協力関係」、「2人の関係を盛り上げるその他の同居人たち」によって奏でられる“貧乏アパート+美女との出会い”ものは、時代を越えた男のロマンとしてこれからも登場し続けるだろう。

文=キビタキビオ