お手本はたんぽぽ・白鳥! 処女でも“非モテ”を卒業できる方法とは?

更新日:2013/1/15

 谷川ニコのギャグマンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(スクウェア・エニックス)が3巻で発行部数100万部を突破し、ビッグヒットとなっている。この作品の主人公は、女子高生になれば自然にモテると思いこんでいた15歳の黒木智子。乙女ゲームで恋愛をシミュレーションし、モテる準備は万端。しかし現実は恋人どころか、クラスに友人もできない。仲良く話している同級生を見ては、「男のことしか考えていないバカ女」「バカ女と一緒にいる男なんてどうせクズ」と見下すことで自分を保っている“非モテ”女子だ。

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 そんな黒木智子とそっくりな女性が、お笑い芸人・たんぽぽの白鳥久美子。小学校から現在に至るまで男性と付き合うこともなく、正真正銘の“処女”として生きて来た白鳥の奮闘や葛藤が描かれた『処女芸人』(扶桑社)では、テレビで見せる愛らしい笑顔の裏に隠された過去が明かされている。

 小学校のときは仲良し3人組のうち2人が美人で、自分でも宮沢りえのようなイケてる女子だと思っていたという白鳥。しかし“黄金期”から一変、中学生になると自分が不美人だと気付く。しかし、同級生に長めのアゴをからかわれても『赤毛のアン』さながらの妄想でポジティブ変換し、なんとかうまくやりすごす。

 ところが共学の高校に進学すると、妄想だけでは立ち行かなくなる。なぜなら、思春期を通りすぎた男女が、異性として距離を縮め始めるから。「モテなすぎてひねくれていた」という白鳥は、「性にめざめたばかりの男女の乳臭い香り」にイライラしっぱなし。演劇同好会という居場所はあったものの、「クラスの大半の女子をビッチ、男子はヤリチンと決めつけ」て孤立していたというから、まさに『私がモテないのは~』の世界。

 さらに白鳥が不幸なのは、大学生になってもその価値観を引きずることだ。日本大学芸術学部演劇学科に進むものの周囲となじめず、バイトや学外サークル、演劇鑑賞に活路を見い出す日々。大学を卒業し女優を目指すものの芽が出ずに借金だけが増える。失意のまま故郷に帰り、目標もなく自堕落な生活を送る彼女を変えたのは、同じく故郷に帰って来ていた友人の一言。自分の店を開くために地元で働くと言う友人の前向きな姿勢に、白鳥は自分自身を見つめ直し、欺まんに気付く。
「高校でビッチやヤリチンたちとなんて関わりたくないと言っていたけど、本当は無視しないでほしかった。大学もみんなと一緒にたくさん芝居に関わりたかった」

 自分の弱さを認め、芸人という新たな目標を手に入れた白鳥。と同時にひねくれていた自意識からも解放され、ありのままの自分を受け入れる強さを身に付けた。

 現在『めちゃ×2イケてるっ!』(フジテレビ系)などの人気番組に出演し仕事は順調なのに、恋愛面ではデートにこぎつけても男性に当日ドタキャンをされ、31歳の現在も処女を更新中。それでも彼女は処女仲間や友人に囲まれ、精神的“非モテ”からは脱出したように思える。モテない理由を他人に求めているうちは幸せになれない。そんなことを教えてくれる『処女芸人』は全“非モテ”女子に捧げる応援歌なのかもしれない。