なりたい職業1位! 「公務員がラク」は本当なのか?

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2013/1/14

 少し前までは、ただお堅いだけのイメージだったお役所の仕事。しかし、最近では公務員が「新成人のなりたい職業」で1位に選ばれるほど人気の職業になっている。その1番の理由は、何より安定しているということ。定時であがれて、福利厚生もしっかりしていて休日もきちんとある、そして企業のように倒産することがないというのは、やはり魅力的なのだろう。そんな人気を反映してか、お役所を舞台にしたマンガも増えているようなのだ。そこで、今回はみんなの憧れの的である公務員はどんな仕事をしているのか。また、どんな人たちが働いているのかをお役所マンガから紹介してみよう。

 まずは『雨無村役場産業課兼観光係』(岩本ナオ/小学館)。東京の大学を卒業して地元の村役場に就職した主人公の春野銀一郎が任されたのは、産業課の商工観光係。公務員の仕事といえば、ほとんどの人が事務仕事や毎日決まったルーチンワークを想像すると思う。入ってしまえば楽そうな公務員だが、実はそんなこともない。銀一郎の初仕事は、村の人が駆除したヌートリアと呼ばれるネズミの仲間の死骸を数えて助成金を支払うというものだったし、他にもケガをしたサギの保護や稲刈りの日取り决めなど、初めてやるようなちょっと変わった仕事もたくさん。決まった仕事だけやっていればいいということではなく、災害や緊急事態があれば何でも対応しなければならないのだ。でも、村中を駆け回って住民と協力し、夏祭りの企画や新たに提案した桜祭りを作り上げていく過程や喜びは、役場の職員だからこそ味わえるもの。また、元カノが結婚すると聞いて落ち込んでいた銀一郎のためにお見合い相手を紹介しようとしてくれたり、仕事を休んで気分転換してこいと言ってくれる職員がいるような優しさと思いやりあふれる村役場で、地元の人たちのために働くのも悪くない。

 そして、作者である高津カリノが実際に区役所で働いていた時の経験を活かして描いたという『サーバント×サービス』(スクウェア・エニックス)には、個性豊かな職員がたくさん登場する。主人公の山神ルーシー喜美子明江愛里史織倫弥由保…(以下略)は、自分の名前を受理した職員に一言文句を言うために市役所に就職したというちょっと変わった子。でも、始業のチャイムがなると誰よりも早く仕事を始めるし、すごく真面目な公務員タイプの性格の持ち主なのだ。一方、要領が良くて仕事の覚えも早い長谷部 豊は、どうやってサボるかだけを熱心に考えているが、やることだけはきちんとこなすので、なんだか憎めないし怒れないタイプの男だ。そして、とにかくお年寄りに好かれる三好紗耶は、毎日何時間も彼らの世間話に付き合ってあげたりする。たまには隠れてしまうこともあるが、毎日話に付き合っているうちにどのタイミングで切り上げられるかや他の仕事と両立する方法もだんだんわかってくる。そもそも、道に迷ったり手続きの仕組みがわからないという人がいれば手書きで丁寧に教えてくれるほど親切な彼女なので、困っていたり寂しがっている人は放っておけないのだろう。公務員=ルーティンワークで同じ作業の繰り返しというイメージがあるが、同じ作業をしていても、ひとりひとりときちんと向き合っていれば、ルーティンはルーティンじゃなくなる。

 こんなふうに三者三様の彼らだが、それぞれの特技や特徴・性格を活かした仕事ができるのもお役所の特徴なのかもしれない。
さらに、『出勤!! 市役所ファイブ』(稲田恭明/白泉社)では戦隊物の全身ピッタリカラースーツを着て市民のために奉仕活動をする「市役所ファイブ」と呼ばれる市役所補助職員が登場する。いくら人々に印象づけるためとはいえ、カラースーツを着ての作業には抵抗を覚えるだろう。それに、仕事内容も公園の掃除から犬のフンを始末したり、小学生が通学するときの旗当番、ゲートボールの助っ人メンバーといったものばかり。だから、就職試験に惨敗した主人公の小野妹子は、市役所ファイブの仕事にやりがいを感じることができなかった。でも、屋根に登った子供の靴をとってあげた時に「すげーじゃん! 見直したわっありがとな!」と言われたり、助っ人で行ったゲートボール会場でおじさんやおばさんたちに「これからも市役所ファイブよろしく頼むで!」「今日は来てくれてありがとう」「市役所ファイブにはいつも感謝しとるんよ!」と言われて頑張ろうと思うのだ。いつの間にか、市役所ファイブの悪口を言ってきた相手の顔面に蹴りを入れてしまうくらいにはその仕事が好きになっていた。

 仕事に派手さはないが、誰かの役に立っている。それを実感することができる公務員は、やはり素敵な職業なのだろう。お役所マンガの魅力が詰まったこれらの作品を読めば、ますます公務員の人気も高まるかもしれない。