少女マンガのオキテを全部入れるとこうなる!?

更新日:2013/1/18

 少女マンガに登場する男の子たちは、みんなかっこよくて優しくて、スポーツもできる。男女問わず友達もたくさんいるような人気者で、彼女のためならなんだってしてくれるような、まさに絵に描いたような王子様たちだ。でも、そんな“少女マンガの掟”を全部入れたら、とんでもないヒーローができちゃったようだ。

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 12月6日に発売された『キミが好きとかありえない』(あおいみつ/講談社)には、少女マンガの5つの掟が詰まっている。

 まず1つめは「ヒーローは、イケメンでなくてはならない」という掟。本作の主人公である小町かなでは「はちみつベイベ」という少女マンガが大好きで、高校生になってもまだ恋したことがないような、恋に恋する女の子。そんな彼女が初めて恋した相手は、イケメンでバスケや勉強も得意な転校生・宮原日向。おまけに、彼はかなでの好きな「はちみつベイベ」の作者でもあったのだ。もちろん、周りには彼と仲良くなりたくて近づく女子がたくさんいる。そんななか、必死にアプローチしようとしていたかなでのことをちゃんと見ていてくれて、「小町かなでさん きみが好きです オレと……付き合ってもらえますか」とまっすぐに告白してくれるのだ。そんなことをされたら、誰だって好きになってしまう。まさに、これ以上ないくらい理想の王子様だろう。しかし、ここから徐々に彼の本性が現れていくのだ。

 2つめの掟は「何よりも、恋愛が大事でなくてはならない」。恋をしたら、勉強もスポーツも手につかなくなるし、彼女のピンチにすぐ駆けつけるのも少女マンガのヒーローなら当たり前。しかし、日向はかなでが自分に告白するために夜中の3時までかかって必死に書いた手紙を、書き損じたものまでもったいないからと全部回収。もちろん、かなでがラブレターを書いている間もずっと家の前で見ていた。恋愛至上主義というよりも、変態の域に足を踏み入れているのだ……。

 そして、3つめは「もちろん、ピュア」。偶然ぶつかった拍子にかなでとはじめてのキスをしてしまい、かなでを傷つけたと思って落ち込んでいた日向。普段どんなに変態チックなことをしていても、それまでかなでに触れることは1度もなかった。実は、好きな相手にどう接したらいいかわからないほどピュアな男の子だったのだ。

 「どこにいても私のこと見つけてくれる」というのも掟のひとつだが、少女マンガのヒーローにとっては朝飯前。彼女がピンチのときや困っている時には、いつだってどこからでも駆けつける。しかし、日向の場合はかなでの匂いだけで彼女の居場所を突き止めることができるのだ。おまけに休日もあとをつけ、偶然を装って声をかけてくるのだから、どこにいてもかなでのことを見つけてくれるのは間違いない。

 さらに、「ヒーローは、ヒロイン一筋であるべし」という掟も、ちゃんと守っている。制服のブレザーの内側には盗撮したかなでの写真と、オリジナルの缶バッチなどがびっしり。朝からかなでを家まで迎えに行ったときも、パジャマ姿のかなでを見て「萌え!!」と叫びながら写真を撮りまくる。授業中もハァハァしながらかなでの方を見ているし、自分の部屋にはかなでのポスターや人形がびっしり。

 掟だけを見てみるとたしかにときめくはずなのに、ここまで行き過ぎるとときめきどころか恐怖さえ感じる。やはり、なにごとも限度というものがあるのだろう。もしも少女マンガを恋愛の参考にしようとしている男子がいるなら、『キミが好きとかありえない』を読み、行き過ぎないようご注意を!