「好き」を超えた! 三浦しをんが読み返すマンガ5作

公開日:2013/1/14

 直木賞受賞の映画化作品『まほろ駅前多田便利軒』にひきつづき、『まほろ駅前番外地』のドラマが1月11日からスタート、また、2012年本屋大賞受賞作の『船を編む』の映画公開も4月に控えている人気作家・三浦しをん。『ダ・ヴィンチ』2月号では、今年ますます人気を博すこと間違いなしの三浦しをんを大特集。特集では、無類の読書家としても知られる三浦しをんが頻繁に読み返すという、彼女のルーツともいえるマンガを紹介している。

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 ――「BLも同じなんですが、好きなマンガはその時々で変わるし、何より数が多すぎて選びきれない。なので、今回は年齢を重ねて、何度読み返しても新たな発見がある、多様な読みができるマンガを選んでみました」

Marginal(マージナル)』、『ベルサイユのばら』、『天上の虹』、『日出処の天子』。どれも納得、少女マンガの名作と呼ばれるものばかりだ。

「『ガラスの仮面』は『嵐が丘』の他にも『奇跡の人』や『たけくらべ』といった原作のある作中劇がたくさん出てきますよね。一粒で二度美味しい、私の“作中作好き”の原点です(笑)。『Marginal』はやっぱり懐が深いんですよ。この時期の萩尾望都先生の絵柄が好きだし、グリンジャとアシジンが凄く色っぽいですよね。でもこの間読み返したら“どうしよう! マルグレーヴが好きすぎる!”ってなって(笑)。自分でも驚きました」

 残る3作は世界史&日本史の参考書、あんちょこ本として親しんだ人も多いはず。
「『ベルばら』は乙女のバイブルですよね。世界史のなかでフランス革命だけは詳しい日本女子がどれだけいることか(笑)。愛について真面目に考えすぎる『天上の虹』の登場人物たちも実に愛おしい。考えすぎてモテないんだよ!と自戒を込めて言いたいです(笑)。『日出処の天子』は、この完全版の発売と同時に舐めるように読み、その勢いで以前のコミック文庫版も読み返したばかり。巻の切れ目の箇所とかが違うと印象が変わるので、検証せずにはいられなかった(笑)。何度読んでも時間を忘れるほど楽しくて、そこから好奇心の輪が広がっていく。これもまた“凄い”ことだと思います、つくづく」

三浦しをん、よく読み返すマンガ5作】

■『持統天皇物語 天上の虹』第1期(全6巻)里中満智子 講談社漫画文庫
■『ベルサイユのばら』(全5巻)池田理代子 集英社文庫コミック版
■『Marginal マージナル』(全3巻)萩尾望都 小学館文庫コミック版
■『日出処の天子 完全版』(全7巻)山岸凉子 メディアファクトリーMFC 
■『ガラスの仮面』(1~49巻)美内すずえ 白泉社花とゆめC

取材・文=藤田香織
(『ダ・ヴィン』2月号「三浦しをん大特集:三浦しをんが愛する本」より)