ひとりの深夜は、なぜラジオに聴き入ってしまうのか?

エンタメ

2013/1/16

 1月19、20日にセンター試験を控え、世間は受験シーズン真っただ中。この時期になると、勉強のお供にラジオを聴く学生が増えるのだそう。深夜ひとりでいると、ついつい聴き入ってしまうラジオ。そんなラジオの魅力を再認識できるマンガ『満ちても欠けても』(水谷フーカ/講談社)が発売中だ。この作品は、「MNM(ミッドナイトムーン)」というラジオ番組を作り上げているスタッフを中心にしたオムニバス形式の物語になっている。そこで、今回はこの作品の中からラジオの魅力を紹介していこう。

 ラジオの魅力といえば、やはり音だけで伝えるということ。主人公で「MNM」のパーソナリティーを務める天羽日向は、新企画として夜食を作って食べるコーナーを提案する。確かに、テレビの方が予算もかけられるし映像で見るから伝わりやすいけど、映像で見てしまえばそれ以上のものにはならない。でも、音だけならいくらでも妄想が広がる。ビールの缶を開ける音やお肉を焼く音。「おいしい!」という一言にしても、声だけだからこそその気持ちが声に乗る。

 それに、テレビだとながら見はできないが、ラジオは何か他のことをしながらでもちゃんと聞くことができる。だから、就寝前や車の中、勉強中でもニュースなどの時事ネタ情報とBGM代わりの音楽がいっぺんに楽しめるのだ。

 そして、ハガキ職人みたいになって、自分も一緒に作っている感覚を味わえる。自分のペンネームでメッセージが読み上げられたときの喜びは格別。実際に、「MNM」で放送作家を務める中村慧尋もハガキ職人から放送作家になったし、「見習いとして働かせて下さいっ」と押しかけてきた西国まつりもハガキ職人の常連だった。また、ラジオ局のカフェで働く古屋みどりも、実は隠れハガキ職人。普段はしっかりした姉御といった感じで、年下の彼氏にはついつい面倒を見る側にまわってしまって甘えることができない。そんな彼女だが、ラジオの中でだけは“ふんわりいちご”として悩みを打ち明けたり、普通の可愛い女の子として誰かの相談に乗ったり出来る。そんなふうに違う自分を演じたり、自分をさらけ出せるのもラジオの醍醐味なのだ。

 また、1対大勢ではなく1対1の関係なのもラジオならでは。作中では、ラジオのパーソナリティーはリスナーに向かって話すときに「みなさん」とは言わず「あなた」と言う。車の中や勉強中、何人かで聴いていたとしても、届くのはひとりひとりの耳だから、そのひとりひとりに伝えるために「あなた」と言うのだとか。だから、たとえ他の人が送ったハガキだったとしても、同じ境遇の人に感情移入したりまるで自分に語りかけられているかのように楽しむことができるのだ。それに、ハガキやメールを送ればパーソナリティーだけでなく見ず知らずの相手からでも自分に対するアドバイスや励ましの言葉がもらえる。ラジオは、そんなひとりひとりとつながる素敵なメディアなのだ。

 これを読めば、普段はあまりラジオを聴かないという人でもラジオを聴きたくなること間違いなし! ぜひ、ラジオを聴きながら読書にふけってみては?