“無自覚フェロモン系男子”の特徴って?

更新日:2014/4/14

 特に意識しているわけでもないのに、知らず知らずのうちに人を引きつけてしまう。そして、男性をムラムラさせたり、どこか落ち着かない気持ちにさせる。BLには、そんなふうに無自覚にフェロモンを振りまく“無自覚フェロモン系男子”がたくさんいる。そこで、12月27日に発売された『大人になってもわからない』(鷹丘モトナリ/芳文社)や今年で連載10周年を迎える『生徒会長に忠告』(門地かおり/新書館)、『オトコの花道』(笠井あゆみ/竹書房)から彼らの特徴を探ってみた。

advertisement

 まず彼らに共通して言えるのは、鈍感なこと。他人からの好意や自分に向けられた欲望に対してとにかく無防備なのだ。『大人になってもわからない』の大学講師・竹中は、教授に頬を撫でられても電車で痴漢されてもまったく気づかない。むしろ、痴漢されているのに「この人もこんなとこ触りたくなんてないだろうに…」と申し訳なく思っているぐらいで、男が男に痴漢したり欲情するなんてありえないと思っているのだ。

 また、『生徒会長に忠告』の生徒会長・国斉も電車に乗ると毎朝痴漢されるし、後ろから抱きつかれても抵抗しない。痴漢に対して一緒に登校していた副会長の知賀がキレると「すげぇ失礼」と知賀をたしなめ、相手にペコペコ謝る始末。あげくの果てには職員室の前で教師に堂々と首筋や腰、お尻や太ももまで触られているのに「先生にやせたって言われた」などと笑っているのだ。

 さらに『オトコの花道』の高校生・甘夏コウタなんて電車で服を脱がされかけているのになんとも思わないし、美容院で肩や胸、足をマッサージしてもらったり舐められたりするのが普通だと思っている。その上、料金もタダなので「何だか申し訳なくて行き辛くってさー」なんて言っているのだ。これでは周りが心配するのも当たり前で、余計注目を集めてしまうのも仕方がない。

 そして、彼らが鈍感なのは他人に対してだけじゃない、自分に対しても鈍い。自分が思わせぶりな態度やエロい仕草をしていることにも“無意識”過剰だ。だから、『大人になってもわからない』の竹中のようにためらいもなく人に「好き」と言えたり、心配だからと夜中に高校時代の先輩で同僚でもある南の家を訪れたりするのだ。『生徒会長に忠告』の国斉だって、知賀が部活や髪を切りに行くと言えば「俺も一緒にやりたいなぁ」とか「俺もついてっていいかぁ…?」と言い、許しを得て照れ笑いする。その笑顔や仕草で数々の男を魅了していくのだ。

 また、『オトコの花道』のコウタは「あー ノド渇いた ちょっと頂戴」と言ってクラスメイトのジュースを横から奪っちゃうし、「体が火照っちゃって…」と言いながら襟元をはだけたりする。さらに、なかなか目を合わせてくれないクラスメイトにはちゃんと自分を見て話して欲しいと言い、自らも苦手な牛乳を飲んで背を伸ばそうとするのだ。そんなことをされたら、誰だって意識してしまう。

 これほどまでに鈍感で危うげな彼らだが、それを生み出しているのは彼らの純真さによるところが大きい。大人になってもわからない』に登場する高校生の頃の竹中は、まだ恋をしたことがなく、オナニーすら知らないような男の子だった。でも、そのときから付き合った人とは結婚しなくちゃいけないと思っているような子で、「お互いが一生に1人の運命の人と結ばれる」ことが人生の目標だった。

 『生徒会長に忠告』の国斉はキスしたこともないし、男と出かけるだけでも緊張してすぐ照れ笑いする。おまけに、やっとのことで知賀を好きだと自覚しても、それまでの関係が壊れるのが嫌で、まだ好きでいたくて告白できずにいたのだ。

 『オトコの花道』のコウタはエッチなんて恥ずかしいと思っていて、ナマナマしいのは苦手。「好きな相手とじゃなきゃ嫌だし…そこまで深く人を好きになれる自信がないんだ」という理由から、一生清い体でいることを信念にしている。

 今どき女の子でも言わないようなセリフを照れくさそうに語る彼らは、まさしくピュア。そんな天然の色気を秘めている彼らだからこそ、異性だけでなく同性までも魅了してしまうのだろう。