藤子F全集、いよいよ完結へ! とりあえず買うならどれ?

マンガ

更新日:2014/2/8

 2009年に刊行が始まった『藤子・F・不二雄大全集』も、いよいよ2月25日から刊行される第4期の配本をもってついに完結となる。第4期は1950年代から60年代にかけて発表された児童マンガ群をメインとして、2014年3月まで約1年かけて全14冊が発売される予定だ。

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 この大全集は、藤子・F・不二雄の全作品網羅を掲げてスタートしたシリーズ。収録作品のほとんどがこれまで未刊行だった作品である第4期をはじめ、『ドラえもん』などの超有名作品でも単行本初収録の作品が多く、ファンならぜひとも全巻揃えたくなる内容となっている。とはいえ、F全集は第1期から今回の第4期まですべて合わせると114巻、価格的にも20万円近くかかってしまう。収納スペース的にもお財布的にも、全部をまとめ買いというのはなかなか気軽にできることではない。

 では、「とりあえず何冊か買ってみたい」という人はどのあたりから手を付けるのがいいのだろうか?

 今回のF全集でまずは押さえておきたいのが『オバケのQ太郎』だ。藤子・F・不二雄の代表作のひとつで、主人公のQ太郎は国民的キャラクターともいえるほどだが、実はこの全集刊行まで、20年以上にわたって絶版状態になっていたのだ。絶版状態になっていた理由についてはさまざまな憶測を呼んでいたが、いずれにせよ長らく入手困難で、古書店でも価格が高騰していた『オバQ』が未刊行作品を含めて手に入るのは貴重。

 特にトキワ荘メンバーが多く関わったスタジオ・ゼロという制作会社で作られたため、ところどころに石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)らの手で描かれたと思われるキャラクターやカットも散見される初期の巻は、何はなくとも手元に置いておきたいところだ。また、表現上の人種差別問題で封印された「国際オバケ連合」を収録した4巻も読みどころだ。

 同じく長きにわたって絶版状態だったという意味では『ジャングル黒べえ』も注目。こちらもアニメ化されたりと、F作品のなかでも有名なもののひとつだが、先に触れた「国際オバケ連合」の人種差別問題が持ち上がった際に、その余波で本作も封印され、やはり長らく入手が困難な状態になっていたのだ。『ジャングル黒べえ』は全集では1冊で完結しており、初収録作も豊富にあるので、とりあえずの1冊としてもいいだろう。

 貴重さでいえば『UTOPIA 最後の世界大戦』もこの機会に手に入れておきたい作品だ。足塚不二雄名義で描かれた本作は、藤子最初で最後の長編描き下ろし作品で、現存数が少ないその初版本は古書市場で数百万円の値が付き、「日本一高いマンガ」といわれていたほど。過去に何度か再刊行されており、一昨年にもF全集とは別に復刻版が刊行されているので、入手自体が困難なわけではなくなっていた。しかし、復刻版は4000円近くする豪華本で、過去の復刊版も古書市場でそれなりにいい値段が付くことが多いため、1500円ほどで手に入る全集版はかなりおトク。ちなみに全集では藤子不二雄のデビュー作である『天使の玉ちゃん』が併録されているのもポイントだ。

 藤子・Fといったらやっぱり『ドラえもん』から入りたいという人も当然いるだろう。もちろん全集でも刊行されているのだが、『ドラえもん』だけでも全20巻に加えて大長編があるという大ボリューム。どの巻にも初収録作品が含まれているので、やはり全部欲しくなってしまうのだが、あえてどれかを選ぶならオススメは18巻だ。

 この巻は雑誌『幼稚園』や『よいこ』などに掲載された作品を中心に収録しており、全集の『ドラえもん』のなかでも未収録作品が特に多い巻。収録作としても、のび太が家出した結果、10年以上にわたって無人島で暮らすことになる「無人島へ家出」や、ファンの間では伝説的未収録作となっていた、人体をもバラバラにしてしまえる秘密道具「分解ドライバー」といったシリーズ屈指の怪作が多く、今回の全集では特に「買い」の1冊といえるだろう。

 どれをとっても名作や貴重な作品ばかりの『藤子・F・不二雄大全集』だが、まずは特に有名なレアモノであるこのあたりから買い始めるのもいいのでは?