実写は日テレの公開作が充実 乱歩賞受賞作『脳男』に期待

テレビ

公開日:2013/2/7

 ここ数年、テレビ局が映画製作の中心に参画し、日本の興行界を引っ張ってきた。今年の公開作は挑戦的な実写作品がそろっている。その一翼を担っているのが日本テレビ。開局60周年を迎えることもあり、脚本・宮藤官九郎、監督・水田伸生、主演・阿部サダヲのゴールデントリオによる『謝罪の王様』が9月に控え、いくえみ綾のマンガを初めて映像化した『潔く柔く』が長澤まさみ&岡田将生の共演で秋に公開される。生田斗真が感情を持たない殺人者に扮する『脳男』(2月9日公開)や、10億円の報奨金がかかった殺人犯を大沢たかおと松嶋菜々子演じるSPが護送する『藁の盾 わらのたて』(4月26日公開)など、ダークな設定の異色アクションに力を入れているのも注目どころ。

 特に『脳男』は、完成度の高さから、試写を見た関係者の間ですでに話題となっている。原作は2000年に江戸川乱歩賞に輝いた首藤瓜於のバイオレンスミステリー。並外れた知能と肉体を持つも、感情を持たない殺戮者(生田斗真)が連続爆破犯と対峙、読者は「悪」や「正義」とは何かを問われ、感情が揺さぶられていく。生田は、難役に挑むため撮影前の半年間、数種類の武術稽古による筋力トレーニングを徹底したとか。彼のさわやかなイメージを覆す新境地となるだろう。過去に『カイジ』を当てるなど、ダークでエッジの効いた作品に定評ある日テレだけに、『脳男』はまさにその路線としてヒットの期待も高まる。

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文=平山ゆりの/日経エンタテインメント!
ダ・ヴィンチ3月号「出版ニュースクリップ」より)