久世番子ら、プロのマンガ読みの語る不朽の名作マンガたち

マンガ

更新日:2013/2/13

 多感な少女時代に出会った作家は、大人になっても心のどこかに息づいているもの。マンガ読みの30代女子が、10代・20代と愛読してきた少女マンガ家とは? 『ダ・ヴィンチ』3月号の「30代女子のためのマンガ100」特集では、マンガ家の久世番子をはじめ、ライターの横井周子、編集者の齋藤和佳、書店員の田中香織という立場は違えどマンガ愛を仕事としている30代女子4人が少女マンガを語りつくす座談会を開催している。

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久世 とにかくマンガから知識をたくさん仕入れましたよね。
横井 『星の瞳のシルエット』(柊 あおい)を読んでカウンセラーになりたい、とか。
久世 ペルセウス流星群とか。
田中 かすみ草の花束とか買いに行きましたもん。赤いケトルに挿すんですよ(笑)。
横井 吉住渉さんが『ハンサムな彼女』で、ハンサムな女というのはエリザベス・テイラーでもマリリン・モンローでもなく、ローレン・バコール!ってパーンと言っていて。すごく早熟な教育を受けてたんだなあって思います。
齋藤 私は『ファミリー!』(渡辺多恵子)でオートミールを知りました。
田中 かっこよさを教えてくれたのは『CIPHER』(成田美名子)。フロスで歯を磨いているのがかっこよかったんですよ。おじいちゃんが使ってる糸ノコみたいな形のじゃなくて、ヒモ状のピーッて引っ張り出すやつで。
久世 『CIPHER』にホール&オーツが出てきてたんですけど、大人になってから「この曲か!」って思った。
横井 アニスはマイケル・ジャクソン人形を大事にしてたよね。
田中 コバルト文庫の挿絵から入る、っていう流れ、ありませんでしたか? 私、さいとうちほさんがそうで。藤本ひとみさんの本の挿絵だったんですよ。この人の絵、かっこいいなって思ってたら、マンガが売ってる!と思って。それで『ある日、ナイトに会ったなら』っていう短編集をおこづかいで買った。
久世 『なんて素敵にジャパネスク』『ざ・ちぇんじ!』も、コバルト流れ。氷室冴子さんの本の挿絵だった山内直実さんがマンガ化している。
横井 私もコバルトでみずき健さんを知りました。その流れで『ウィングス』にはまっていって、高河ゆんさん、CLAMPさんという二大巨頭に出会った。そこからの尾崎南さん、みたいな。
齋藤 高河さんは高校の頃に『アーシアン』を読んでました。
横井 片目から血を流すイラストとかかっこよかった!
田中 細かいシチュエーションを描くのがうまいですよね。『REN-AI〈恋愛〉』でも「出会えなかった分の誕生日を祝うよ」とか! キュンとしました。
横井 フード描写も上手で。金木犀入りのお茶を飲む、とか。
田中 「レシピ」っていうフリートークのページが好きでした。
久世 高河さんが、アシスタントをみんな連れてハワイに行ったりするんですよね。
田中 私もああいう大人になると思ってました(笑)。

 特集では、参加者がそれぞれおすすめのマンガ家3人を推挙。

 りぼんっ子だった時代の思い出や、これからも読み続けたいマンガ家など、少女マンガに対する強く深い愛を語り倒している。

取材・文=門倉紫麻
『ダ・ヴィンチ』3月号「30代女子のためのマンガ100」より)