30代女子にこそ必要な、一生懸命な恋を描いた少女マンガ

マンガ

公開日:2013/2/14

 恋に結婚、仕事に子育て。30代女性というものはとにもかくにも忙しい。夢や期待に胸を膨らませる一方で、悩みや葛藤、戸惑いも多いだろう。『ダ・ヴィンチ』3月号では、日々を頑張る「30代女子のためのマンガ」を大特集。30代女性限定アンケートの結果からあぶりだされたキーワードとともに、厳選されたおすすめマンガ100冊を紹介している。

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30代女子がもっともハマっているマンガ1位に選出されたのが『君に届け』(椎名軽穂)。ご存じ、近年No.1の大ヒット少女マンガだ。陰気な見た目で「貞子」と呼ばれる高校生・爽子が、同級生の風早くんとの出会いをきっかけに変わっていく最強の恋愛ストーリー。真っ直ぐな恋の煌めきは、忙しい30代女子にとって必要不可欠な要素なのだ。

 ――『君に届け』の爽子は、風早くんのために素直な気持ちをきちんと言葉にしたいと思い、『アオハライド』(咲坂伊緒)の双葉は洸の本当の想いを理解しようとする。『好きっていいなよ。』(葉月かなえ)のめいは、大和に初めて心を開いた。彼女たちは、大切な人のために強くなろうとする。物語の中で爽子は、人とつながる喜びを実感しているが、その真に誠実な姿勢があるから、大切な人と心の距離を近付けていけるのだと思う。

 さて、千早や爽子たちの一生懸命。それは、30代女子にとって他山の石ではないし、ただの夢や理想でもない。なぜなら、30代女子こそが、現実社会において一生懸命なのだ。仕事、恋愛、結婚、家族のこと……。彼女たちには全力で考え、対処しなければならないことが山ほどある。障害に苦しみ、自ら歩んできた道を後悔することもあるかもしれない。

 そんなとき、青春少女マンガは元気と勇気をくれるはずだ。千早や爽子を見て、自分の一生懸命を再び信じることができるだろう。30代女子にとって、青春少女マンガはただ懐かしさを誘うものではない。彼女たちの現実と直結した、活力の源なのだと思う。

 一生懸命というと、真っ直ぐすぎて猪突猛進のようなイメージを抱くかもしれない。しかし、青春少女マンガの一生懸命は、もっと柔軟なヴァリエーションに富んでいる。――(構成・文=松井美緒)

 恋する気持ちに戸惑い揺れ、それでも一歩を踏み出そうとする少女たちが主人公の『日々蝶々』(森下suu)、『シリウスと繭』(小森羊仔)や、大人になりたい少女たちの切ない恋の痛みを描いた『キミニ恋シナイ』(天堂きりん)、純朴な少女が担任教師に恋をする『ひるなかの流星』(やまもり三香)など、30代女子が胸を貫かれること間違いなしの恋愛コミックを数多く紹介している。

『ダ・ヴィンチ』3月号「30代女子のためのマンガ100」より)