若さ至上主義はバブル女のせい!? 酒井順子が語るバブル女の功罪

社会

更新日:2013/2/18

 人目を引く立ち居振る舞いや世相とかけ離れた金銭感覚ゆえに、他の世代から揶揄されがちな「バブル世代」。一般的には1989年~1992年頃に就職した世代を指す。現在では考えられないような好景気に青春時代を過ごしたバブル世代は、下の世代から嫉妬と羨望が入り混じった感情を持たれ、苦手意識を持たれているといっても過言ではない。それを証明するかのように、『バブルさん 30代を悩ます迷惑上司の生態と対処法』(斎藤 啓:著、都築 潤:イラスト/阪急コミュニケーションズ)、『バブル女は「死ねばいい」 婚活、アラフォー(笑)』(杉浦由美子/光文社)など過激なタイトルの本も登場している。

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 では当のバブル世代は、自らのことをどう思っているのか。『負け犬の遠吠え』(講談社)の著者として知られる酒井順子氏は『下に見る人』(角川書店)の中で、冷静にバブル世代の功罪を分析している。

 酒井氏が分析する「功」は結婚観。男女雇用機会均等法第一世代と同様にキャリアウーマン志向の強いバブル世代は、下の世代、特に女性の生き方に大きな影響を与えた。酒井氏の見解では、バブル世代はさらなる出会いを求めて学生時代の“糟糠の彼”と別れ、結果道ならぬ恋などで婚期を遅らせた人が多いとか。それを反面教師にした若い女性たちは、「売れ残るのは絶対に嫌」と危機意識を持ち、学生時代の彼と早く結婚する傾向があるそうだ。

 その現象を見て、「今の若い女性達にそのような意識を植え付けたのは、他ならぬ我々でしょう」「我々を見て若者達が結婚への意識を高めたとしたら、我々も時代の捨て石ということで、少しは世のお役に立っているのかも……」と自虐をこめる酒井氏。超晩婚社会からの揺り戻しとはいえ、バブル世代が広げた女性の多様な生き方を、結婚に集約させてしまうのはもったいないような気が……。

 一方「罪」は、「若ければ若いほど偉い」という価値観を広めたこと。酒井氏が高校生だったころは、いわゆる女子大生ブームに沸き上がっていた時期。酒井氏いわく、当時の女子高生は「我々はすでに、遊びでもファッションでも、女子大生と同じことをすることができる。同じことをするのなら、より若い方が恰好がいいのではないの?」と、“若さに価値がある”ことに気付いてしまったのだそう。酒井氏は私服通学だったにも関わらず、友人たちとオリジナルの制服を作り、女子高生という看板をおおいに使ったと回想。「女子高生が自らの若さを根拠に、年上の女達を見下すという意識は、このように八〇年代前半くらいに発生し、今に至るまで連綿と続いています」

 しかし、当然のことながら一生若い人などはおらず、下の世代に「見下される」立場に追いやられることに。「『若ければ若いほど偉い』という価値観を自分達で広めておいて、その価値観に自分達の首が締められた」という酒井氏だが、いまだにバブル世代を中心に中年女性の美魔女化が進むのはこういった価値観の浸透が要因にあるのかもしれない。

 他の世代に影響を当たるほどの“功罪”を持つバブル世代。いつまでも旺盛な消費意欲や若さを求め続ける姿勢ゆえに、酒井氏は「社会の道化者扱い」とバブル世代を立ち位置を自虐するが、バブル世代以降は「ロスジェネ世代」「ゆとり世代」など字面だけを見てもギスギスした雰囲気が漂う。バブル世代はいつまでも道化者として、人生を謳歌する姿を見せてほしいと思うのは、異世代ゆえの放言だろうか。