『将棋世界』編集長が選ぶ  「心を揺さぶる将棋マンガ名セリフ」ベスト5

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更新日:2013/8/2

『3月のライオン』や『ハチワンダイバー』では熱い将棋の対局はもちろん、奥が深い人間ドラマも描かれているラコ。そこで、日本将棋連盟が発行する機関誌『将棋世界』の田名後編集長に、数ある将棋マンガの中から「心を揺さぶる名ゼリフ」が込められている作品をピックアップしてもらい、作中のエピソードと共に紹介してもらったラコ。

『将棋世界』

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1937年創刊の日本将棋連盟発行の機関誌。制作・販売はマイナビ。豊富なグラビアページで、将棋界の旬な話題、トップ棋士のインタビューや対談、講座などあらゆる情報が満載。将棋初心者や見る将棋ファンには、1冊まるごと1人の棋士をテーマにしたスペシャルムック『将棋世界Special』がオススメ。最新号は羽生善治を取り上げている。

1位
「戦う理由が無いと言いながら本当は身の内に獣が棲むのを知っている」
3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)
3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)
  • 著者名:羽海野チカ
  • 発売元 : 白泉社
  • 価格:504円

孤独を抱えた17歳の棋士・桐山零が、川本三姉妹との温かい交流や棋士との厳しい勝負の中で、戦う意義や自分の居場所を見つけていく過程を繊細に描いた物語。『なぜ自分は戦うのか―。その理由を見つけられず悩み続ける一方、周囲の人間を喰いちぎってでも勝ちたい(生きたい)と牙を剥く己の中の獣。それが零自身をも傷つける。抑えきれない感情を、涙を流し叫びながら爆発させるシーンは胸を締め付けます。勝負の世界に生きる者の心情をリアルに描いた作品であるとファンのみならず棋士たちの間でも絶賛されています。』

2位
「将棋を100%理解できたら神のとなりに座れる」
ハチワンダイバー 1 (ヤングジャンプコミックス)
ハチワンダイバー 1 (ヤングジャンプコミックス)
  • 著者名:柴田ヨクサル
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:545円

賭け将棋を生業とする真剣師たちが、熱き戦いを繰り広げていく将棋バトルマンガ。『血生臭い将棋の世界にメイド服姿の女真剣師を登場させた型破りな設定は斬新。主人公・菅田健太郎は、マンガ家でもある真剣師・文字山と対峙する。賭け金は「人生」。菅田に勝負を決断させた文字山の言葉がこれ。将棋はあまりにも深く、すべてを理解するのは不可能。もし100%理解できたらもはやそれは神である、と。文字山の強さを瞬間的に察した菅田はこの厳しい勝負に挑みます。』

3位
「将棋に負けて得るものなど何もねぇ!」
月下の棋士(1)
月下の棋士(1)
  • 著者名:能條純一
  • 発売元 : 小学館
  • 価格:432円

破天荒な天才棋士・氷室将介が名人を目指す!高い画力と独特の描写・キャラクターが印象的な能條純一の代表作。連載当時、囲碁の『ヒカルの碁』と人気を分けた名作だ。『名人位を目前に夢破れた祖父・御神三吉が、幼少の氷室に言い聞かせたのが「将棋に負けて得るものなど何もない」。祖父亡き後、高知より上京してきた氷室は、この言葉を胸に名人を目指して勝って勝ちまくるのだが……。奇人変人(?)ばかりが登場しますが、現実の棋士たちはそんなことありません(笑)。』

4位
「将棋してると得することがいっぱいある!」
ひらけ駒! 〈1〉
ひらけ駒! 〈1〉
  • 著者名:南Q太
  • 発売元 : 講談社
  • 価格:540円

将棋が大好きな男の子、宝くんとお母さんが織りなす親子の日常を描いた作品。作者自身の体験に基づいた「将棋界ハウツー本」としての側面もある異色の将棋マンガ。実在の棋士も多く登場する。『このセリフは宝くんが初段の認定をもらったときのものだが、将棋というゲームは上達する喜びだけでなくさまざまなことが養える、という意味が込められた実はとても深い言葉。そんな宝くんの熱にあてられて、自らも将棋に夢中になっていくお母さんの奮闘ぶりも微笑ましい。』

5位
「苦しい時受けた恩はじぶんががんばってあとで返せばいい!」
5五の龍 (1)
5五の龍 (1)
  • 著者名:つのだじろう
  • 発売元 :
  • 価格:324円

将棋ブームを巻き起こした、昭和の不朽の名作。奨励会でプロ棋士を目指す駒形竜がライバルたちと繰り広げる青春群像を描く。『家族の不慮の事故でお金を稼ぐ必要に迫られ、賭け将棋に身を落とした同門の高美濃。しかし彼の才能を惜しむ駒形はアルバイト代を援助して励ます。「他人にたよって生きるなど」と戸惑う高美濃に向かって泣きながら言ったセリフがこれ。奨励会は他人を蹴落としてまで生き残ることを強いられる地獄の世界だけにホロリとさせられます。』

最後に、『将棋世界』の田名後編集長からメッセージをいただいたラコ。

「栄光のため、あるいは生活のために身を削る思いで戦い続けるプロ棋士の世界は物語の格好の題材として、これまでたくさんの将棋マンガが生み出されてきました。現在、人気絶頂の『3月のライオン』をはじめとする連載中の作品はいうまでもありませんが、かつて時代の将棋少年たちをとりこにした名作『5五の龍』『月下の棋士』は電子書籍でぜひ読んでいただきたいと思い、あえて選びました。“真実は小説よりも奇なり。”、現実のプロ将棋界のドラマについては、ぜひ『将棋世界』をご覧ください。」

『将棋世界』編集部様ご協力ありがとうラコ! 他にもこんなテーマのランキングが知りたい!というのがあったら @bookrako までよろしくラコ!