貧困女子のためのコミックエッセイがブーム

コミックエッセイ

公開日:2013/2/24

 近頃、注目を集めている「貧困女子」というキーワード。ネーミングこそ軽いが、その実態は一人暮らしの女性(20~64歳)の3人に1人が貧困であるという、とても深刻な社会問題。働く女性の場合、半分以上の人が非正規雇用であることを考えると、多くの人にとって「明日は我が身」の話だ。

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 このような世相を反映してか、いま人気を集めているのが、節約術をテーマにしたコミックエッセイ。『やってみました! 「年収100万円の豊かな節約生活術」』(春原弥生/文藝春秋)や『誰も教えてくれないお金の話』(うだひろえ:著、泉 正人:監修/サンクチュアリ出版)、『年収150万円一家』(森川弘子:著/メディアファクトリー)など、いずれもコミック形式のため手軽に読めるものばかり。そんななか、1月に出版された『「貧困女子」時代をかしこく生きる6つのレッスン』(花輪陽子:著、ふじいまさこ:イラスト/角川書店)は、そのものズバリ「貧困女子」向けに書かれた本。派遣切りに遭い、自分の生活を考え直す主人公が登場するコミックエッセイと、細かな解説で構成された1冊だ。

 ファイナンシャル・プランナーである著者は、若い女性から家計の相談を受けることも多いらしく、「手取り月収は13万円など、かなり低い場合も本当に多い」という。ここで問題になってくるのが、大きな支出となる家賃。大都市に暮らしていると家賃が高いため、“手取り13万円で家賃7万円”なんてケースも。これでは「生活保護よりもきびしい暮らしになってしまう」のだ。本書では、住居費は「1000円でも低いほうがよい」と指南。多少不便で狭くても、ここは我慢どころ。ただし、日当たりや風通しが悪いと光熱費が余分にかかるため、そのあたりは事前にチェック。新耐震基準に対応している1981年以降の建物であるかどうかも重要なポイントだ。もちろん、人気のシェアハウスやルームシェアという選択も考えられる。

 また、「早寝早起きと家電の整理」で電気代を節約。お風呂の残り湯で洗濯すれば、水道代は年7800円も節約できるし、ガス代も食器洗いをお湯ではなく水で洗うことで年1万1790円の節約になるそう。さらに、自炊も節約の第一歩。食費が抑えられるだけでなく、バランスのよい食事を意識すれば健康にだってなれる。ひいては「化粧品代の半減」という思わぬ効果もついてくるかもしれない。

 当然のことながら、こうして節約した成果は貯金にまわすこと。まずは月1万円から貯金をはじめ、少しずつでも貯金額を増やしていこう。理想は「手取り月収の1/4」。将来の備えとしても、引越しや急な冠婚葬祭、資格の勉強などの入り用にも困らない蓄えをつくりたいところだ。

 ワーキングプアと同じく、「貧困女子」もまた、社会構造に問題点がある。なぜ働いても貧しいのか。どうして女性のほうが多く不安定な労働条件の下にあるのか。日々の暮らしから自分の身を守るための知恵をつけることと同時に、自分が生きる、この社会を見つめ直す作業も必要なのかもしれない。