超限定グルメ漫画? テーマをうなぎだけにしぼった『う』の奥深さ

マンガ

更新日:2011/9/28

講談社の週刊『モーニング』で一風変わったグルメ漫画が評判を呼んでいる。タイトルも異色だ。たった一文字の『う』。うなぎ料理に取り憑かれた呉服屋の若旦那を主人公とする、うなぎのみをテーマとする作品なのだ。

作者は『酒のほそ道』などで知られるラズウェル細木氏。〈旨いもの〉を描くことで定評のある漫画家である。

1巻の帯には「人類初のオンリーうなぎ(食うだけ)漫画」とある。うなぎといえば、蒲焼きに白焼き、他はせいぜいうざくやうまき、胆焼きくらいでバリエーションが多いとはいえない食材。それだけで作品が描けるのはなぜか?

「以前から、うなぎを描くのって楽しいなとなんとなく感じていたんです。連載開始時点で単行本一冊分続ける自信はあったのですが、本格的に仕事にしてみると次から次へと新しい発見がある。うなぎは料理だけでなく付随するすべてのものが魅力なんです。そもそもうなぎ屋というのはゆとりがあってはじめて行けるところです。価格の問題というよりは心のゆとりが大事。ファストフードの対極にあるといってもいいでしょう。うな重やうな丼が出てくるまでに何を注文するか、どんな酒を飲むかというプロセスもうなぎ屋の楽しさです」

「『嫌い』という人以外は、うなぎってほとんどの人が大好きですよね」とラズウェル氏。未読の人の多くは「本当にうなぎだけで話がもつのか?」と感じるだろう。しかし、1巻分をまとめて読めば、うなぎ料理とそれを愛する伝統的な日本の文化がいかに奥深いものであるかを知るはずだ。

主人公のようにことある毎にうなぎを食べる人は滅多にいないだろうが、この作品に目を通せば、必ずうなぎが食べたくなるのだ。

(ダ・ヴィンチ10月号この本にひとめ惚れより)