“美坊主”に続き、“お寺女子”がキテる!?

マンガ

公開日:2013/2/26

“美坊主”や“坊主バー”など、最近注目を集めていた坊主。でも、実は最近お寺の娘やお寺で育った女の子たちが主人公のマンガもたくさん出ているのだ。

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 父親が失踪したせいで、副住職として働くことになった『住職系女子』(竹内七生/講談社)の美鶴をはじめ、『寺ガール』(水沢めぐみ/集英社)では、寺の3姉妹として生まれた長女の悟留と次女の光里、三女の拝美が登場するし、『日日べんとう』(佐野未央子/集英社クリエイティブ)には、わけあって幼少時代を禅寺で過ごし、今はデザイナーとして活躍する谷 黄理子が出てくる。

 彼女たちはすごくマイペースで、ふわふわとしていて、どこか現実味が薄い。袈裟姿でスクーターに乗って仕事に行き、酔っ払って義理の弟に迎えにきてもらったり、買い物に出かけていろいろとおまけしてもらってご機嫌で帰る『住職系女子』の美鶴。『寺ガール』の光里は、毎日学校の菩提樹に挨拶しに行ったり、暖かい日差しに向かってほやーっとなりながら手を合わせる。初デートに仏像展に行って、墓地を散歩するだけではしゃいじゃうような女の子。和尚さんにもらったわっぱのお弁当箱を20年以上使い、どんなに忙しくても毎日の体調に合わせたごはんを作る『日日べんとう』の黄理子なんて、心が沈んじゃった夜にはお菓子作りまで始めちゃいます。そんなお寺女子のマイペースで独特な雰囲気にどこか癒される。

 でも、そんな彼女たちにもいろいろと悩みはあるよう。『寺ガール』の3姉妹は、付き合う相手や誰が寺を継ぐかで悩んでいる。寺を継ぐとなれば、付き合う人だって自由に選べないからだ。高校生、大学生の女の子にとって、それはとても大事なこと。でも、自分の恋愛でも家族や檀家さんのことを思って我慢したり諦めようとしたりもする。それに、『住職系女子』の美鶴も自分を捨てて失踪した父親や義理の弟である律の母親のこと、律との接し方や檀家さん、同窓生のために何ができるか、相手の気持ちになって考えられる優しさがある。『日日べんとう』の黄理子だって、仕事のことや仕事が忙しくて倒れた上司のこと、女優であり、自分の生みの親でもある紅子との関係で悶々としている。だけど、お寺女子は決して自分のためだけに悩んでいるのではない。彼女たちは、他の誰かのことを想って悩める優しさと人の悩みにも真剣に向かい合う真面目さを持っているのだ。

 そんな彼女たちの一番の魅力は、なんといっても人を許すため、救うためにがんばっているということ。育ててくれた方丈爺の教えである「日日是好日」、「一日一日初めての佳き日じゃ 身軽に生きよ」という言葉を支えに、仕事を頑張る『日日べんとう』の黄理子。自分を寺にあずけたかと思えば、急に引き取りたいと言い出した紅子を許せなかったけど、それでも病気の彼女にごはんをつくりに行ったり、弟や上司の面倒までみてくれる優しい人なのだ。

 『住職系女子』の美鶴だって、自分を置いて出ていった父のことやその後妻である理沙子のことを許せないと思っていた。でも、彼らのことを理解したい、救いたいと思っているし、両親のお墓やお葬式のこと、失恋や中絶など、いろんな悩みを抱えてお寺にやってくる人たちのことだって自分にできるやり方で試行錯誤しながら救おうとしている。

 『寺ガール』の3姉妹だって、お寺のために誰かが犠牲になるんじゃなく、みんなが納得できるような答えを見つけるために頑張っている。それに、お寺に来てくれた人に喜んでもらうため、手作りのクッキーを作ったり、お茶会を開いたりして自分のお寺の檀家さんにも感謝の心を伝えるために色々と考えているのだ。

 自分たちもいろんな悩みを抱えているからこそ、相手を理解したい、救いたいと思い、互いに手を差しのべ合うことができる。仏教の教えのもとに育ったお寺女子たちは、“許す”という強さや優しさを持っているし、それをみんなにも教えてくれる。もしも身近にお寺女子がいたら、積極的にお近づきになってみるのもいいかも?