食事で治せる!? うつに効く食べ物とは

健康・美容

公開日:2013/2/26

 12歳以上の8人に1人がうつの可能性がある—−そんな調査結果もあるほどに、うつ病は身近な病気。WHOは、2020年には日本がうつ病の疾病率で世界第2位になると予測しているほどで、社会問題といっても過言ではない状態だ。そんな誰にとっても無関係ではないうつ症状、じつは食べ物によっても対処できるという。

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 『「うつ」が消える 食べ方&レシピ』(有田秀穂:監修、弥富秀江:その他/河出書房新社)は、食事を変えることでうつを解消しよう、というレシピ本。まず、この本ではセロトニンという脳内物質に注目。「セロトニンが不足している人は、落ち込みやすいため、ストレスがかかるとその重圧に押しつぶされ」、うつの状態に陥りがちとのこと。逆にセロトニンがきちんと分泌されると「心が安定し、『うつ』の状態に陥ることを回避してくれる」というのだ。

 このセロトニンの原料は、トリプトファンという必須アミノ酸の一種。しかし、体内ではほとんど合成されないため、食べ物からとる必要がある。トリプトファンが多く含まれているのは、大豆製品や乳製品。大豆や枝豆はもちろん、豆腐や納豆、みそ、豆乳に、チーズや牛乳、ヨーグルトなどだ。また、トリプトファンをセロトニンに変換するためには、ビタミンB6と炭水化物も必要。ビタミンB6は、いわしやかつおなどの青魚、アボガド、しょうが、にんにくに多く含まれ、炭水化物はご飯やパン、めん類などのほか、じゃがいもやさつまいもといった、いも類にも含まれるもの。最近では炭水化物を抜くダイエットが流行っているが、うつっぽい人は要注意かもしれない。

 では、一体うつ症状にはどのような食事がいいのか。本書には、セロトニンの分泌を高める方法が書かれているのだが、たとえば「朝はシリアル」という人には、ナッツやドライフルーツ、キウイ、バナナといったトッピング例を紹介。トースト派の人ならハムやチーズを、ご飯派なら卵や納豆、味噌汁といった定番の朝食で、トリプトファンやビタミンB6を摂取できるのだ。ちなみに、シリアルは玄米フレークやグラノーラがおすすめ。そばかうどんで悩んだときは、ビタミンB6や食物繊維が多く含まれるそばを選んだほうがいいようだ。

 また、味噌とにんにくが隠し味の「豆腐とくるみのディップトースト」や、大豆とさつまいもを加えたハンバーグなど、オリジナルレシピも豊富なので、うつっぽさを感じている人には実践しやすいはず。ただし、ただ食べるだけではダメ。太陽の光を浴びることや、一定のリズムで身体を動かすリズム運動、おしゃべりや身体を触れあうコミュニケーションなども、セロトニンの分泌には大切。「身体を触れあうような恋人なんていない……」という人も、犬や猫をなでたり、マッサージやエステでもOKだそう。

 生活習慣を変え、食事にも気を配る。はっきり「うつ」とわからなくても、気分が沈みがちだったり、不眠に悩んでいる人は、こうした日々の小さなことからはじめてみてはどうだろう。