リアルにお取り寄せ&訪問できる本格グルメ漫画が人気

食・料理

2013/3/2

 食をテーマとした漫画は多い。登場人物がその美味しさをあれこれと表現しているのを読むと、「おいしそ~」とつい生唾が出てしまう。しかし、高級食材を使った手の込んだ料理はもちろん、“とっても簡単”などとうたったレシピも、いざ作ろうとすると案外面倒だったりして、作る途中で放り出してしまうことも少なくない。結局、登場した料理を口にすることはなかなか難しいのではないだろうか。

 そんな中、最近では料理を作るという定番のストーリーではなく、お店で作られた料理を買ったり、食べに行ったりする漫画が話題のようだ。

 たとえば、『おとりよせ王子飯田好実』(高瀬志帆/徳間書店)では、主人公が全国から注文した美味しいお取り寄せ品が次々と登場する。“おとりよせ王子”こと主人公の飯田好実は、システムエンジニアとして働くクールなメガネ男子。日々淡々と仕事をこなす彼は、水曜日のノー残業デーになると一目散に家へ帰り、彼がこよなく愛するお取り寄せの品が届くのを出迎える。

 例えば、「但熊」が販売する「卵かけご飯セット」を受け取ると、届いた卵を「手間ヒマかけたこの芸術品……」うんぬんとほめちぎり、お米を炊飯器にセットしては1人で踊りながら待つというテンションの高さ。いざご飯に卵をのせると、2つ届いた醤油のどちらを先にかけるか荒い息を吐きながら悩みまくる。やっとの思いで口にすると、黄身の濃厚さと、ごはんのモチモチ感に「オレ今最ッッ高に幸せ」と目をうるませるのだ。いちいち大げさに感動する主人公だが、その細かい描写にたまらなく食欲をそそられてしまう。こうして1話に1品ずつ紹介されるお取り寄せ品は、巻末に販売するサイトのURLなどを掲載しているため、思い立ったらすぐに注文することができる。

 また、美味しい朝ごはんで有名なお店を紹介してくれるのが、『いつかティファニーで朝食を』(マキヒロチ/新潮社)。こちらは、だらしない彼氏や忙しいばかりで報われない仕事に悩む28歳の佐藤麻里子が主人公。千駄ヶ谷の「グッドモーニングカフェ」や築地市場の「和食 かとう」、世界一の朝食と呼ばれる七里ガ浜の「bills」など名店の朝食に、主人公は強ばった気持ちをほぐされ、生きる活力を得ていく。主人公の気持ちに共感すれば、本物の味が気になるところ。その店に実際に足を運んで、同じメニューを注文してみてはいかがだろうか。

 せっかくストーリーが面白くても、その料理を食べられなければどこか物足りない思いが残る。しかし、これらの漫画ならその欲求不満も解消できるだろう。主人公たちが紙面いっぱいに表現してやまない感動の味を、ぜひ味わってみたいものだ。

文=佐藤来未(Office Ti+)
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)