「年齢=彼氏いない歴」はダメじゃない!? 恋愛経験ゼロ女子の魅力

恋愛・結婚

公開日:2013/3/2

 童貞のまま30歳になると魔法使いになれる――。ネット上では、女性経験のない男性に対して、こう揶揄することがある。さすがにこれは言い過ぎだが、確かに男性の間では「早く童貞を捨てなければ大変なことになる……」という意識があるのは事実。思春期の男子の中では、いち早く童貞を卒業した者はなかばヒーローのような羨望の眼差しを集めることも。それとは逆に、女性の場合は“処女”であるということが、男性ほど劣等感の対象にならないように思える。

 しかし、それもいまや昔の話。最近では「こじらせ女子」という言葉がブームになったことも受け、女性の自意識の中に「いい歳して処女なんてありえない」という思いが芽生えているようだ。そこには、童貞男性と同様の、“恋愛経験がない=何かが欠落している人間”という考え方が見てとれる。

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 先日、お笑いコンビ“たんぽぽ”の白鳥久美子による自伝的著書が発売された。その名も『処女芸人』(扶桑社)。『めちゃ×2イケてるっ!』(フジテレビ系)などのバラエティ番組をはじめ、最近では女優としてドラマにも出演している彼女は、31歳にして、正真正銘の処女だ。そんな彼女が処女として生きてきた半生を綴った同書には、“非モテ”ならではの苦悩や葛藤が満載。

 彼女は、小学生の頃に自分が不美人であることを自覚し、それ以降、異性との交際からはほど遠い位置に。異性を意識し始め、いちゃつく同級生を心の中で「ビッチ、ヤリチンどもめ」と蔑む件は物悲しい思いでいっぱいになる。また、モテないながらも、雑誌『an・an』(マガジンハウス)のセックス特集を購入し、必死で恋愛力を磨こうとする姿は涙を誘う……。

 このように、処女だからといって決して女子力が低いとは言い切れない。むしろ、経験のない恋愛において誰よりも必死で努力する姿は、健気で一生懸命だ。

 そのような“高齢処女”を主役に据えたマンガが『きょうは会社休みます。』(藤村真理/集英社)だ。主人公の青石花笑は一度も男性と交際したことがなく、処女のまま33歳の誕生日を迎えてしまう。仲のいい友人からは「今年こそはなんとかするよーに」と言われるが、「なんとかできたら、とっくにしている」と悶々としてしまう。

 そんな花笑が処女を捨てた相手は、会社のアルバイトである大学生の田之倉悠斗。会社の飲み会で散々酔った挙句、記憶がないまま田之倉と一晩過ごしてしまうのだ。しかし、深く後悔し何もなかったことにしようとする花笑に、田之倉は「自分と付き合ってほしい」と宣言する。

 そこからが見ものである。恋愛経験ゼロの花笑には、田之倉とのすべてが初体験。田之倉の財布を心配し食事に行っても安く済ませようとしたり、田之倉の元カノのことをアレコレ考えたり、親が会いたがっていることをなかなか言い出せなかったり……。どの行動も空回りしている。

 しかし、どれも初めてできた彼氏を大切にしたいと思うが故。男性にモテるのが当たり前に感じている女子にはできないだろう。付き合った女性に振り回されてきた男性から見れば、花笑のような女性はまさに魅力的。逆にいえば、豊富な恋愛経験を経てきた女子には見習うべきポイントが満載だ。

 このように、恋愛に臆病になっているからこそ男性を大切にできる高齢処女。彼女たちは決して欠点ばかりの人間なんかではない。むしろ、たまたま恋愛をしてこなかっただけで、初々しい魅力がたくさんある。世の女性も彼女らをほんの少し参考にして、初めて恋愛した頃のウブな気持ちを思い出してみてもいいのかもしれない。

文=磯田大介(OfficeTi+)
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)