ブンガク部が廃部ってどういうこと? 『涼宮ハルヒの憂鬱』ほか ―ブンガク!【第1回】―
更新日:2013/8/8
~とある高校のとある教室~
「たたたッ、たいへんだ~!!」
「ど、どうしたんだ、桜井なんかあったのか?」
「タイヘンダッ! たいへんですッ! 中島部長! SOS団(※1)が攻めてきたくらいに大変なんですッ!」
※1「SOS団」
『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川流/角川書店)
「ただの人間には興味のない」と豪語するエキセントリックな女子高校生ヒロイン、涼宮ハルヒが設立した学校非公式クラブSOS団のメンバーを中心に展開するSF学園小説。2003年からシリーズ開始、アニメ化されたことで大ブームを巻き起こす。「ライトノベル」という言葉が定着するきっかけとなった作品で、「ツンデレ」や「セカイ系」といったその後のラノベにおけるテンプレートを数々生み出し、その後の作品に多大な影響を与えた。
「落ち着け、まずはゆくっりと喋ろうな……で、慌てて、どうしたわけ?」
「ブンガク部が……ラノベブンガク部が……」
「いや、ブンガク部、普通のブンガク部だから……」
「ひどいッ! いい、いや、ブ、ブンガク部が廃部をいい渡されました!!」
「……は、い!?」
「だからブンガク部が某古典部シリーズ(※2)みたいに廃部の危機だっていっているんですよ!」
「なな、な、なんだって~ッ!! なんでだ! 廃部になるような問題は何も起こしていないぞッ! てか古典部シリーズってなに?」
※2「古典部シリーズ」
『氷菓』(米澤穂信/角川書店)
省エネ主義な高校一年生、折木奉太郎は廃部寸前の古典部に入部。そこで古典部に入部した不思議な同級生、千反田えると共に古典部の33年前の謎に迫る青春ミステリー。『氷菓』はシリーズ第1弾で、現在までに第5弾までが刊行されている。2012年4月から9月まで放映されたテレビアニメは、制作を『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じ京都アニメーションが手がけたことで話題に。“日常系青春本格ミステリー”という新たなジャンルを開拓した。
「いや、まあ古典部のことは置いておいて……えーっと、まずは何から話せばいいのやら、とりあえず僕の話を聞いてください」
「あ、ああ」
「実はですね、去年までいた、元三年生の先輩たちが卒業したことにより部活動として小さくなり過ぎてしまった現状、部員が僕らしかいないわけです。ま、部員不足です」
「だ、だったら簡単だ、新しく部員を集めに今から一走りして……」
「間に合うと思います?」
「……だよね~。う~ん」
「つまりは、今期のブンガク部は廃部になることが決まったんですよ」
「おいおい、マジかよ」
「だから困ったことなったんじゃないですかッ」
「……で、どうにかならないワケ」
「廃部にならないようにするには方法があるにはあるのですが……」
「え、あんの?」
「えーっと、まずは部員6名と顧問一人あと最後に学園祭までに部員全員で共同作品を作ることだそうです」
「ええ!……ああっ、もうなんだよ。思えば二年のころから頑張ってブンガク部を自ら作り上げた。だが気づけばライトノベル好きの三年生に部を占拠され、今日まで耐えてきた。頼む、もう一度、もう一度だけ俺にチャンスを……」
「うわ~ッ、マジ引くわー、なんか遠い目しちゃっていうか被害妄想炸裂ッ!?」
「どうしようかな、あ、そうだ、この部を同好会にしちゃえば問題ないよね。あははは……いいんだ、もういいいんだ。僕はもういいんだ」
「そのふ抜けた幻想をぶち殺す!!(※3)」
※3「そのふ抜けた幻想をぶち殺す!!」
『とある魔術の禁書目録』(鎌池和馬/アスキー・メディアワークス)
超能力が科学によって解明された世界。超能力開発を目的とした巨大な学園都市に住む高校生、上条当麻はインデックスという謎の少女と出会い、正体不明の魔術師に追われることに。彼女を守るため、当麻は科学と魔術の交差する世界へと足を踏み入れるが――。「そのふ抜けた幻想をぶち殺す!!」は当麻が敵を倒すときの決め台詞。本作とスピンオフ作品『とある科学の超電磁砲』は、ともにテレビアニメ化し大ヒット。2013年3月には劇場版も公開されるなどライトノベルを代表する人気シリーズ。
「いてッ なにすんだよ、危ないな!」
「もう、先輩しっかりしてくださいよ。というかアンタがやらず誰がやるんだ!」
「あ、そ、それは……」
「……あ、そういえば」
「変わるの、早ッ!」
「つい最近、確か新任の先生がライトノベルとかの話にとても詳しかったような」
「え、なにそれ、何で言わなかったの!?」
「だって、つい最近赴任してきた先生ですし記憶に薄かったというか」
「よし、その先生をまず引き抜いて、部員を集めれば何とかなるんじゃね!!」
「でもその先生って確か……えーっと、あれ、誰だったっけ?」
「思い出せよ~! 部の存続が掛かっているんだからさ!!」
「……えーっと、えーっと!?」
「……その方でしたら私が知っていましてよ!!」
「だ、誰だッ!」
「……あら私のこと知らないのですか」
「……えーっと、どちら様!?」
「オホホホホ……私は金髪藍眼の名乗り手(※4)、ユイ・佐藤ッ!」
※4「金髪藍眼の名乗り手」
『灼眼のシャナ』(高橋弥七郎/アスキー・メディアワークス)
平凡な日常を過ごしていた高校生の坂井悠二は、ある日、未知の怪物に襲われる。怪物を狩る少女<シャナ>と悠二の出逢いを発端とした、日常生活と戦いの日々を描く現代学園異能アクション。「炎髪灼眼の討ち手」はシャナが登場の際に口にする台詞。シャナは、数あるツンデレキャラの中でも特に高い人気を誇り、『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒ、『ゼロの使い魔』のルイズと並びラノベ界の三大ツンデレヒロインと称される。
「「……誰だ!?」」
「佐藤唯です。お見知りおきを……」
「「……だから、誰だ!?」」
次回予告
「さーて、始まりました。僕らのブンガク!・・・・・・桜井智樹です!」
「ああ、始まったね。どうも中島優斗です。てか始まって早々大丈夫なのかな、この部?」
「そんな弱気では困りますわよ、お二人さん」
「「出た、新キャラ!!」」
「フフッ・・・・・・」
「では次回のブンガクをお楽しみ!」
「次回は本格的に私、登場!!」