クズ同士が恋愛すると、こんなことに……!?

アニメ・マンガ

2013/3/7

 クズと呼ばれる人間には、さまざまな種類がいる。金に汚い、ギャンブルに狂う、酒に溺れる、平気でウソをつく、他人をおとしいれる、などなど。最近では、真面目系クズという言葉さえあるほどだ。

 そんなクズな人間を題材としたマンガが2月19日に出版された。それが『クズの本懐』(スクウェア・エニックス)だ。作者は話題沸騰中の『君は淫らな僕の女王』(岡本 倫:原著/集英社)の作画を担当している横槍メンゴ。やさしささえも感じるほどの、やわらかで繊細なタッチで描くキャラクターたちは、非常に魅力的。

 品行方正な美男美女カップルとして、周囲から羨望の眼差しを浴びているカップルがいた。男の名は麦、女の名は花火。昼休みには一緒に弁当を食べ、下校の際は、仲良く帰る。清らかで理想的な男女交際に見えるふたりだが、じつは誰にも言えない「ある秘密」を共有していた、というのがストーリー。

 この「ある秘密」というのが、ふたりを「クズ」たらしめている部分であり、この作品の重要なキーワード。その内容というのが、じつはこのふたり、お互いに「好きな人」がいるのである。

 そう、本命が別にいるにも関わらず、好きではない人と付き合っているのである。しかし、その目的は、周りから羨まれたいとかいうものではない。それよりも、もっといびつで、ふたりはお互いを、その本命の人にダブらせて、自身を満足させているのである。手をつなぐときも、抱き合うときも、キスをするときも、体を触れ合わせるときも、つねに頭には、好きな人を思い浮かび、その人と僕・私は、こんなことをしているんだと満足感を得る。妄想するだけでは我慢できない、実際に相手の感触がないとおさまらない、そんな欲望を、代用の相手で満たす。なんと歪んだ仲だろうか。

 ふたりの本命の相手、それは、麦は音楽の先生で、花火は担任の先生。それぞれで幼いときからの付き合いもあってか、異性として眼中に入れられていない。しかも、その意中の相手同士が、雰囲気が良さげで交際に発展しそうな仲だというのも、麦と花火の歪みを加速させているのだ。

 そんなふたりの仲は、そして本命の相手との距離は、この後、どうなっていくのだろうか。まだまだ先が見えず、非常に楽しみな作品である。

 しかし、麦と花火の関係を、いびつであり複雑、そして歪んでいると書いたが、現実にも、彼らのようなことをしている人間はいるだろう。キスをしている最中でも、セックスをしている最中でも、ふと彼・彼女の顔を、別の人間とダブらせて見てしまうことがないとはいえないと思う。

 どうだろう、そこまでをふまえた上で、あなたは麦と花火をクズと呼べるだろうか。この本を読んで、ぜひあなた自身の目で判断してほしい。