ゼクシィにも載ってない! 男同士の結婚式はここが大変

BL

更新日:2013/3/7

 結婚式。それは一生に一度の大切なもの。だからこそ、ドレスや式場、食事や引出物といった細かいところまでこだわりたいもの。そんなとき頼りになるのが、たとえば結婚情報誌『ゼクシィ』(リクルートホールディングス)。結婚前には、誰もが一度は式場やドレスを選ぶときの参考にしているはず。しかし、それが男同士のカップルだとそうもいかない。そんな『ゼクシィ』にも載ってない、男同士の結婚式を叶えるまでを描いたBLが発売された。それが、2月22日に発売された『男子婚マニュアル』(羽柴みず/フロンティアワークス)だ。これは、新人ウエディングプランナーの千早が自分のクビをかけ、前例のない男同士の結婚式を引き受けちゃうというお話。そして、ここでは新郎・新“夫”として訪れた裕太と蓮のために千早が男性同士の結婚式を1週間で準備するのだ。

 BLでも、花嫁ものや養子縁組で結婚してしまう作品はたくさんあるが、『男子婚マニュアル』のように、実際に結婚式を挙げてしまうカップルは少ない。そもそも、男同士の結婚式には何が必要で、どんなことが大変なのだろうか?

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 まず、男同士の結婚式で必ず迷うのは、どんな服を着るかということ。どちらかがドレスを着るのか、それとも2人ともタキシードなのか。もともと新夫が女装好きならそれでもいいが、やはり友達や知り合いが来る前でウエディングドレスを着るのは恥ずかしいもの。彼らも散々迷ったが、結局黒と白で色違いのタキシード姿にした。そして、新郎である裕太がどうしてもベールアップしたいと言ってきかなかったので、新夫の蓮はベールだけつけることに。見た目は普通の男同士なのに、やはりベールをつけるだけでもなんとなくかわいく見えてくるから不思議。

 そして、次は式のスタイルや式場の内装。連は、初めて見た子どもの頃から赤い絨毯が敷かれたバージンロードを「いつか愛する人と歩きたい」と思っていた。しかし、宗教的な問題もあって、千早のいる式場では教会で洗礼を受けなければ赤い絨毯のバージンロードを歩けないことになっていた。もちろん、男同士の裕太と蓮の場合、神様からの祝福を受けられるはずがない。だからと言って、結婚式ができないわけでも、絶対に赤いバージンロードを歩けないわけではない。神に誓うことのできない同性同士の結婚だが、式の列席者が立会人となる“人前式”なら結婚式ができる。赤いバージンロードだって、千早のアイディアで乗り越えてみせるのだ。

 他にも問題はある。普通なら、新婦と新郎の参列数はできるだけ揃えるもの。しかし、男同士だと職場にもなかなかカミングアウトできないし、家族に反対されていたりしたらますます人数を調整しづらい。実際、銀行員であった裕太は職場にカミングアウトしていなかったので、式に呼べる人は少なかった。でも、たとえ祝福してくれる人が少なくても構わない。日本の法律や神様に認められなくても、2人の結婚を祝福して、喜んでくれる人がいればそれだけで充分だ。

 それに「赤いバージンロードは許されない僕たちですがこうして結婚式を迎えることができて本当に幸せです」なんて言っている新郎新夫のためなら、いくらでも頑張れるはず。むしろ、ここまで期待して任せてもらえるなんてプランナー冥利に尽きるというもの。「本気で愛し合っているカップル」なら、男同士だとしても異性同士のカップルとなんら変わらない。実際2月にはサンリオピューロランドで同性同士の結婚式が行われ、3月1日には東京ディズニーリゾートでも初の同性結婚式が行われた。もしかしたら、近い将来同性婚のための『ゼクシィ』だって発売されちゃうかも?