激情、萌え、ダメ男、ピュア……文学男子の魅力を解読

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更新日:2014/4/14

 最近、ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』や映画『レ・ミゼラブル』などの影響で、名作と言われる文学作品に興味を持ったという人もいるだろう。そして、そこには必ず女子を惹きつけてやまない魅力的な男子がいる。2月25日に発売された『文学男子―BUNDAN―』(いのうえさきこ/集英社)によると、そんな文学作品に登場する男子=ブンダンは、大きく分けて4つのタイプに分類することができるそう。

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 ひとつは、一度見たら忘れられないような濃すぎる激情型。2つ目が、萌える美少年タイプ。そして、ダメ男に、ピュアすぎる男子タイプの4つがある。では、彼らは一体どんなふうに女性を虜にしていくのだろうか?

 まず、濃すぎる激情男子には「終身刑の判決を受け船で護送中水平を助け海へダイブ」したのち、そのまま逃走しちゃう『レ・ミゼラブル』(ヴィクトル・ユゴー)のジャン・ヴァルジャンやひたすらセックスをしながら熱い議論を繰り広げる『チャタレイ夫人の恋人』(D.H. ロレンス)。『リア王』(シェイクスピア)や『サロメ』(ワイルド)などが挙げられるが、なかでも特に激しいのが『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ)のヒースクリフ。

 お互いに好きあっていたキャサリンが「ヒースクリフと結婚したら落ちぶれちゃう」と言っているのを聞いて家を出るのだが、その3年後には復讐の鬼となって帰ってくるのだ。自分をいじめていたヒンドリーからはギャンブルで金を巻き上げるし、自分を捨てたキャサリンの妹をたらしこんで結婚。さらに、彼らの娘や息子にまで復讐しようとするほどのネチっこさを発揮するのだ。こんな相手に捕まったら大変。でも、そうだと分かっていてもこれほどまでに一途に思ってくれるならそれでもいいかと思えてしまう。

 そして、萌え美少年タイプには『車輪の下で』(ヘッセ)のハンスや『初恋』(トゥルゲーネフ)のウラジーミルが挙げられているのだが、年上女性に恋する彼らは、勉強はおろか読書も散歩も乗馬すら手につかなくなるほど恋に溺れる。そんな青くてまっすぐな若さが、女子の母性本能をくすぐる。

 おまけに、優等生の主人公・ハンスと問題児のハイルナーが出てくる『車輪の下で』や真面目な薫の大将と超遊び人の匂の宮が登場する『源氏物語より―宇治十帖―』(紫式部)のように、対になる美少年が出てくる作品もある。正反対なのにお互いにひかれ合う彼らは、腐女子視点から見てもとても魅力的なのだ。

 また、「いっしょに転ぶとタダではすまない」のが、『舞姫』(森 鴎外)の豊太郎や賭け事のために人まで殺しちゃった『スペードの女王』(プーシキン)のゲルマン、ドケチで女にもだらしない『女の一生』(モーパッサン)のジュリヤンといったダメ男たち。

 『舞姫』の豊太郎は留学先であるドイツの道端で出会った美少女・エリスに恋し、そのせいで職を失う。そして、彼女を妊娠させたくせに周りに反対され、精神不安定になったエリスを見て、彼女を置き去りにしたまま日本に帰ってしまうのだ。まさに行き当たりばったりの無責任なヤツ。

 さらに『女の一生』のジュリヤンなんて、チップも少ししかあげないし、支払いのたびにギリギリまで値切るほどのドケチ。おまけに、女中にまで手を出して妊娠させてしまい、さらにはジャンヌの友達の伯爵夫人と不倫。結局、それがバレて相手の旦那さんに殺されてしまうのだ。もはや救いようがない。それでも、「私がついていてあげなきゃ」と思わせる彼らに惹かれてしまう女性は、後を絶たない。

 やはりなんといっても1番いいのはピュア男子だろうか。自分が大切にしていた時計を売って、妻のためにべっ甲のクシをプレゼントしてくれる『賢者の贈り物』(オー・ヘンリー)のジムや、自分があしながおじさんだとは言わず、かなり遠回しにアプローチする『あしながおじさん』(ジーン ウェブスター)のジャービス。ジュディからの手紙をもとに、彼女が他の男性から習う予定だった乗馬などを先回りして教えようとするところなんて乙女よりも乙女。

 こんなふうに、いろんなタイプがいる文学男子。あなたの好みはどのタイプ?