東京23区内の全図書館を踏破したマニアおすすめの図書館とは?

暮らし

更新日:2013/3/18

 どの町にも必ずといっていいほど存在する「図書館」。本好きはもちろん、小さな子供を持つ親の利用も多く、人々の憩いの場となっている、地域にとって重要な公共施設だ。

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 『ダ・ヴィンチ』で好評連載中のライター・北尾トロによるルポ取材「走れ! トロイカ学習帳」。発売中の4月号では、「図書館」に注目している。きっかけは、岡山県瀬戸内市で進行している図書館新設計画を知ったこと。あたりまえのようにそこにある図書館。だが、その存在は自分たちが思っている以上に大きく深いものではないか? そこで北尾トロ自ら、最先端の図書館と、これから作られようとしている図書館を訪問することに。

 ――最先端の図書館とはどういうものか。便利さや蔵書の多さを誇るのではなく、これからの可能性を感じさせてくれる図書館を見てみたいが、我々だけでは心もとない。そこで、東京の図書館を片っ端から訪ね歩き、『東京図書館制覇!』なるサイトまで立ち上げている竹内庸子さんに案内役を頼むことにした。すでに23区内の全図書館、約250カ所を巡り終え、現在は都内全域を制覇すべく調査範囲を広げている、この道のエキスパート。完全に趣味でやっているところがすごい。

 動機がいいんだ。本職がwebプログラマーで家にこもりがちだから、散歩ブログでも書いてみようと思い立ち、あまり人がやってない図書館巡りを始めたのである。そうしたら、すっかり面白くなってしまい、歯止めがきかない状態に。インパクトを追求するあまり、制覇と銘打ってしまったからもう大変。自分で自分の首を絞めたとも言えるんだけど、引っ込みがつかなくなったことを前向きにとらえて訪問、訪問、また訪問。3年間で23区内を回り尽くし、いまでは図書館マニアとして講演会を頼まれることまであるという。

 「最初はブログのネタとしてやっていたのですが、ここまで続いたのは行っておもしろいからです。たとえば葛飾区は利用者と職員の関係がフランクですが、世田谷区は静かで落ち着いているとか、図書館ひとつとっても東京ってこんなに違うんだなと実感できます」(竹内さん)

 区内図書館のクイズラリーに力を入れる板橋区。高校生による編集者インタビューを盛り込んだフリーペーパーを作っている江戸川区。ダイタンというキャラを考えグッズまで作っている世田谷区etc.サービスも地域によっていろいろだ。クイズラリーなんて子ども向けサービスかと思いきや、お年寄りも参加しているし、やってみると図書館や地域への親しみが確かにわくそうだ。やってみたんだスタンプラリーも。

 「やりました(笑)。制覇してみて思うのは、エリアによって必要な図書館のタイプは違うということですね。図書館の雰囲気は、図書館員や利用者の共同作業で作られます。同じものはひとつとしてない。だから飽きないんでしょうね」――取材・文=北尾トロ

 同誌では、竹内さんおすすめの北区中央図書館をはじめ、長野県松本市や岡山県瀬戸内市などのローカル図書館に実際に足を運んで、体当たりルポ取材を敢行。図書館の、地域公共施設としての魅力にも迫っている。

(『ダ・ヴィンチ』4月号「走れ! トロイカ学習帳」より)