初心者向けの「猟師本」がジワジワ増加中!

暮らし

更新日:2013/3/18

 ハンティングといえば、英国貴族が嗜む伝統的なものや、もしくはマタギなどの日本古来のものをイメージする人は多いだろう。そんななか、型にはまらない自由な形式で狩りを楽しむ、若者向けの“猟師”本が増えている。

 当時33歳の若き猟師が、京都の山で1年間を記録したエッセイ『ぼくは猟師になった』(千松信也/リトル・モア)は、近年の話題作のひとつだ。猟師になったきっかけから具体的な動物の捕獲法、猟師のマナー、料理レシピ、とくに解体の様子に関してはカラー写真もついて、狩猟生活が細部にわたるまで綴られている。

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 また、捕獲した野生肉(ジビエ)を調理する様が「うまそう!」と好評を得ているのが『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』(岡本健太郎/講談社)だ。岡山県の山奥に移住した猟師兼漫画家の“オカモト”が、毎回さまざまな獲物を相手に、捕獲調理の技を磨いていくエッセイコミック。ウサギの唐揚げやキジバトの焼き鳥、マガモのローストチキンなど、食欲をそそられるメニューが登場。一方、ヘビやカラスなどのゲテモノを食べてみたら「そこまでおいしくなかった…」という回もあり、初心者ならではの素朴な疑問や好奇心を、読者が追体験できるようになっている。

 そのほか、福島県の山奥で開墾生活をおくる漫画家の自給自足の暮らしを描いた漫画『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』(守村 大/講談社)や、現役女性猟師5人の実態を綴ったルポルタージュ『女猟師』(田中康弘/エイ出版社)、そしてシカの捕獲・解体・調理をメインに扱ったレシピ本『うまいぞ! シカ肉』(農山漁村文化協会)など“狩猟”というテーマがさまざまなジャンルで、それも一般向けに出されているのだ。

 スーパーでパック詰めの肉を買うのが当たり前のいま、猟師は特殊な存在に思われがち。けれど、狩猟生活が初心者目線でライトに語られると、「自分で食べる肉は自分で調達する」という生き物の本質を思い知らされる。一見、キワモノっぽい「猟師本」だが、教えてくれること、感じさせてくれることは、案外深いかも?

文=池尾 優