信長だけじゃない! あの偉人が最後に食べたかったものは?

マンガ

更新日:2013/3/21

 先週ドラマが最終回を迎えた『信長のシェフ』(テレビ朝日)。現代の料理人が戦国時代へとタイムスリップし、織田信長のお抱えシェフとして腕を振るうというお話だったのだが、何も美味しい料理を食べたいと思っているのは信長だけではなかったようだ。

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 3月9日に3巻が発売された『最後のレストラン』(藤栄道彦/新潮社)は、死ぬ間際の偉人たちがタイムスリップしてくるという不思議なレストラン・ヘブンズドアが舞台。そこのオーナー兼シェフである園場凌が、偉人たちの無理難題に答えていくというもの。

 チュッパチャップスのデザインを手がけたことなどでも有名な画家のダリからは、「ダリを表現した1皿」を。バーベキューの途中で突然現れた土方歳三からは「死んだホタルイカを生き返らせてみよ」というオーダー。一休さんばりのとんちが必要なこの難題に、園場はどう答えるのか?

 そしてさらに、マリー・アントワネットに至っては「何が食べたいか当ててごらんなさい」なんて言い出す始末。必死にネットで情報をかき集めて好物のお菓子・クグロフや彼女の出身地であるウィーンの料理・グーラッシュ(牛肉とパプリカのスープ)を作ってもダメ。そんな時、彼女が「日本の蒔絵の熱心なコレクター」だったことを知ってそれを応用した料理を作るのだが、果たしてそれはどんな料理なのか?

 また、21人もの人を殺し、“少年悪漢王”と呼ばれたビリー・ザ・キッドに「本当においしいもの」をオーダーされたときは、カリカリのベーコンにホットケーキという何の変哲もない料理を出す。しかし、彼は園場やスタッフと一緒に食事をしただけで納得し、元の世界へと戻っていくのだ。彼に「本当においしい」と思わせたポイントはどこだったのか?

それに、関羽に「感涙する1皿」を頼まれたときも、「張飛牛肉のステーキわらじ見立てワサビソース」を振る舞う。張飛牛肉というのは、閬中で戦っていた張飛に劉備がそれをねぎらって酒と肉を届けたという伝説からつけられたもの。そして、わらじに見立てたのは貧しいわらじ売りだった劉備にちなんで調理したから。これは、まさに義兄弟の契を結んだ張飛や劉備を思い起こさせる1品。たとえ関羽が彼らのことを思って泣いたとしても、わさびのせいにしてしまえば男としてのメンツも保たれるので、あえてわさびを使い「涙が出ますのでご注意下さい」と言い添えたのだ。

 こんなふうに、料理だけでなく、彼らの背景や当時の食文化なども踏まえてそれぞれ本当に納得してもらえるような料理を作ってくれるヘブンズドア。もしもあなたがそこに行けるとしたら、死ぬ前に食べたい料理はなんですか?