擬人化マンガがついにここまで! パンツが見た禁断の日常とは

マンガ

更新日:2013/3/28

 世にあふれるさまざまな擬人化マンガ。その波はとうとう、こんなところまできた。そう「パンツ」を擬人化させるという暴挙ともとれるようなマンガ作品が登場したのである。それが『タンスの奥のぱんつさん』(なつみん/講談社)だ。

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 とはいうものの、パンツが意志をもって喋るなんて設定は、たとえば『地獄先生ぬーべー』(岡野 剛、真倉 翔/集英社)で広、克也ら男子が、女子たちのパンツに変身させられるといったものからみられるように、決して珍しくはない。しかし、『タンスの奥のぱんつさん』はそういったものとは根本的から違う。人がパンツになるのではなく、パンツが人の姿になるのである。まずは、このことを頭に叩き込んでおこう。

 その内容はどういったものかというと、主人公は、女子高生・麻美に長い間はいてもらえずにいる、苺ぱんつ。麻美が子どものころにはしょっちゅうはいてもらっていたのに、と嘆くものの、自分はまだまだ現役で、今でも十分にお役に立てますと、彼女の気を引こうと奮闘する。そんな苺ぱんつのまわりには、現在の麻美のお気に入りとなっている黒ぱんつや、運動をするときや汗をかくときによく利用される縞ぱんつなどの、ぱんつ仲間がいて、彼女たち(?)とともに過ごす日常が描かれている。

 苺ぱんつは、主人公にも関わらず、非常に静かな性格。しかし、ご主人様である麻美のこととなると熱くなるタイプで、麻美が痴漢にあったときなどは、ハサミを携えながら、無理矢理、黒ぱんつにひっついていき、痴漢の指をちょん切ろうとするほど。怒らせたら怖いぱんつなのだ。対して黒ぱんつは、麻美のお気に入りであることが自信となっているのか、高飛車で上からものを言うタイプ。しかし、苺ぱんつが「カビ風邪(ぱんつはカビが生えると風邪にかかったようになってしまうらしい)」になったときなどは、役目を捨てて、看病に励んだりする、やさしい一面ももっている。縞ぱんつはいつでも元気いっぱいで、運動することが大好きな明るくハツラツとしたぱんつ。ときには、無謀ともとれるような行動を考えなしに起こし、不幸な目にあうこともしばしば。そんなぱんつたちの日常は、当たり前だが、人間とはずいぶん違っている。

 まずその住み処はタンスのなか。まあ、ぱんつなので当たり前ではある。お風呂に入るといえば、洗濯機のなかだし、乾燥剤はおやつに、除湿剤は飲み物に変わる。ときには、衣類を食べるヒメカツオブシムシもペットにしてしまう。太りすぎたら、ゴムが伸びた状態になるし、逆に痩せすぎたら縮んでしまうのだ。

 見事にぱんつたちの世界を描ききっているこの作品。人間の世界にも苦労は多いが、ぱんつの世界にも苦労が多いということがしみじみと伝わってくる。これを読めば、次にぱんつをはくとき、いつも以上に愛着をもってはけるかもしれない。そしてときには、古いパンツも使ってあげようか、なんて思いも出てくる、かも。