少女から大人まで楽しめる学園ファンタジーの傑作 シリーズ累計100万部! 「RDG レッドデータガール」がついにアニメ化!

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更新日:2013/4/19

守らなければいけない少女って?

  •  世界遺産になってしまう女の子、という世にも不思議な主人公の物語を書いた荻原規子さん。
    「もし今の世界で、みんなが必死になって守ろうとする女の子がいるとしたら、それはどんな子だろうと考えたんです。今時、少なくとも王家の末裔とか、そういう存在ではないな、と。むしろ、絶滅が危惧されるような存在がそれに当たるんじゃないかと思いついたんですね」

     でも、絶滅危惧種になっちゃうような女の子というのは一体?
    「地球そのものと対話ができる能力を持つ人たち、かな。人類がもっと自然に近かった時代には、そういう力を持つ人たちがたくさんいたのでしょうけど、今はどんどん減ってしまっている気がするんです。早く保護しないといずれいなくなっちゃいそう、そんな感じの発想だったように思います」

     その結果生まれた鈴原泉水子は、山奥の神社にひっそりと住まう大人しい女の子として設定された。でも、不思議な力を持つとはいえ、決してスーパーガールではない。むしろ、腰の下まで伸びたお下げ髪ぐらいしか目立つところがない、ごくごく普通の少女なのだ。

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  • 荻原規子
    おぎわら・のりこ●東京生まれ。1988年、『空色勾玉』でデビュー。ほか2篇の作品で構成された「勾玉三部作」が大きな人気を得た。2006年、『風神秘抄』で第53回産経児童出版文化賞、第46回日本児童文学者協会賞などを受賞。

「今回の作品で私が一番書いてみたかったのは、とても小さなところだったんです。物語の枠組みは人類の命運がどうなるのか、というぐらい大きく作っておくのだけど、それに関わる人たちだって、ごくごく普通の生活を送り、その中で悩んだり喜んだりしているというのを見せたいと思っていました。泉水子のようにすごく異常な状態におかれる女の子であっても、成長の過程で一つ一つやっていくことは皆と同じこと―友達を作るとか、好きな子ができるとか、学園生活のなかで経験するすべての小さなことが、人類の未来に絡んでいってしまう。本人はそこまで突き詰めて考えていないし、まわりの人たちも気づいてはいないけれど、未来を作っていくのはそういう一歩一歩なんですよね」

 物語の中の泉水子は、想像もつかないような大きな運命の流れに怯えながらも、同時に友達との関係や一番身近な男の子である相楽深行とのやり取りに一喜一憂しながら、少しずつゆっくりと大人への入り口に歩みよっていく。

 そんな姿に自分を重ねたくなる読者は少なくないことだろう。

「今回の物語は、泉水子の目から見える世界です。だから、世界の仕組みだって隅から隅までは見えないし、体系的にも理解していません。周囲の人たちは知っているのに、本人だけがそれを知らされていないということもあります。けれども、だんだん大人になっていく過程で自分自身のことを知ることになる。人間、本当は死ぬまで変わっていくものだけど、若い時はその変化がはっきり見えますよね。そんな姿を凝縮して書いてみたかったのかな」

 この世界を作っているのは、この世界に住む一人ひとりの思いや行動。ほんの些細なことでも、それが大きな流れを生むことがある。
『RDG』はそんなことを教えてくれるのだ。
 

  • スニーカー文庫版

    『RDG レッドデータガール 
    はじめてのお使い』

    荻原規子 岸田メル/イラスト
    角川スニーカー文庫 620円
    「RDG」がイラスト満載でスニーカー文庫に登場! 表紙や挿絵はアニメ版キャラクター原案を手がけた岸田メルが担当。オール描き下ろしで、岸田メルの描く「RDG」の世界が味わえる。
  • コミックス版

    『RDG レッドデータガール 1』
    荻原規子/原作 琴音らんまる/漫画 岸田メル/キャラクター原案
    角川コミックス・エース 588円
    泉水子たちにコミックでも会える! 岸田メルのキャラクター原案をもとに、『BLOOD-C』のコミカライズを手がけた琴音らんまるが作画を担当。『月刊少年エース』にて好評連載中だ。
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