マンガの世界での少子化対策がすごいことに!

マンガ

更新日:2013/4/3

 少子高齢化が叫ばれて久しいが、なかなか対策が進まない現代の日本。そんな日本の未来を案じてか、マンガでも『明るいセカイ計画』(蒼木アキ、出水高軌/スクウェア・エニックス)や『サクラサクラ』(もりしげ/秋田書店)、『バランスポリシー』(吉富昭仁/少年画報社)など、少子化が極限まで進んだ未来を描いた作品がたくさん登場している。しかし、そこで行われる少子化対策がとんでもないことになっているのだ。

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 まず、『サクラサクラ』で行われるのは、少子化が極限に達した年に生まれた「最後の世代」と呼ばれる子どもたちを徹底的に管理すること。出生数は2ケタとも1ケタとも言われ、詳しいことは発表されていないというこの世代。主人公の男子高校生・花坂春もそのひとりで、この年になるまで学校に通ったこともなかった。彼が高校に行って初めてできた同級生は、黒髪の少女・姫城桜子と無口な敷島桜花。そして、その3人を国が徹底的に監視、管理しているのだ。まず、授業は桜の木や屋上といったいたるところに設置されている複数の監視カメラでチェック。体育の自習や給食を春と桜子の2人きりでとらせたのも、彼らが何を話し、何を考えて行動するのか見たかったから。おまけに、住む場所も学校が用意したアパートで3人とも隣同士。私生活もすべて監視されており、生理周期も把握されちゃってるほど。もちろん、最後の世代に怪我をさせたり何かあったもんなら教師や担当者は減給や懲戒免職、査問委員会にかけられたり最悪実刑判決を受けるくらいの大問題に発展する。それくらい最新の注意を払い、まるで絶滅危惧種のように扱われるのだ。

 また、『明るいセカイ計画』では、ある高校の生徒たちが日本再生計画「DEAD OR LOVE」の試験生として選ばれ、夏休みの間に学校内の人間と恋人になるよう命じられる。もしもカップルになれなければ、“死”あるのみというこの計画。ほとんどの生徒は死の恐怖から次々とカップルになったのだが、どうしてもカップルにならない生徒は遊園地に集められ、指令を与えられる。もちろん遂行できなかった人には死。その内容も、「お化け屋敷の出口まで2人でゴールせよ」といったものや「日没までに待ち合わせた人物と接吻せよ」、「待ち合わせた人物にひざ枕してもらうこと」など、彼らをくっつけさせるためのものばかり。さらに、飛行機で拉致られ孤島の城で丸1日過ごさせられたりもする。こんなふうに無理やりカップルにされるなんて、たまったもんじゃない。

 さらに、『バランスポリシー』ではとんでもないことに、女子の出生率が低いからと言って適合者として選ばれた男子を女子に改造してしまうのだ。女の子が生まれなければ子どもが産めない。だから、子どもを産むためだけに男子を女子へと作り替える。この「男女均衡政策」によって10年の間に934人もの男子が女子になったと言う。主人公である真臣の親友・健二も、適合者として女にされたうちのひとり。健二には好きな人もいたのに、自分が女になってしまっては付き合うことも結婚することも叶わない。中身は男の健二のままなのに、適合者というだけで拒否権もなく女にされてしまうのだ。戦闘機1機分のお金をつぎ込んで男子を女子に変え、さらにその維持費に戦闘機1機分のお金がかかる。そこまでして人類を増やし、生き残る必要があるのか?

 現実の日本でも、何らかの本格的な対策がとられる日が来るだろう。でも、こんなふうに機械や動物のように管理され、無理やり子どもを産ませるような未来にはなってほしくないものだ。