もう恋愛は不要!? ついにラノベも女の子だけの時代に

マンガ

更新日:2013/4/4

  マンガやアニメでは、『けいおん!』や『ゆるゆり』のように、メインの登場人物が女の子だけ。そして、その子たちが集まっていろいろとおしゃべりする“日常系”の作品が人気になった。でも、どんなにそういった作品が増えても、男の子向けのラノベにおいて語り手となる主人公だけは読者と同じ男の子だった。やはり、主人公が女の子では感情移入できないし、イラストや動きとして目に見える分なら癒されるがただ女の子が集まって何気ない会話を交わすのを文字だけで表現してもつまらない。というわけで、“女の子だけラノベ”は成立し難い、といわれてきた。

advertisement

 しかし、最近では3月10日発売の『安達としまむら』(入間人間:著、のん:イラスト/アスキー・メディアワークス)や『ジョシコーセーの成分。SCHOOL GIRL OVERFLOW』(ハセガワケイスケ:著、ゆあ:イラスト/アスキー・メディアワークス)、3月19日に発売された『紅ヴァンパ ようこそ紅浪漫社へ』(清水文化:著、岩崎美奈子:イラスト/オークラ出版)のように、ついに男の主人公が登場しない作品が出てきた。では、これらの作品ではどんなふうに女の子の登場人物だけで読者を飽きさせないような工夫を凝らしているのだろう?

 まず

 しかし、最近では3月10日発売の『安達としまむら』は、一見普通の百合ラノベのように見える。女の子しか登場しないとどうしても百合っぽい印象が強くなるし、そうなると百合の趣味がない人にはなかなか手にとってもらえなかった。でも、最近は『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』(野村美月:著、karory:イラスト/エンターブレイン)や『俺、ツインテールになります。』(水沢 夢/小学館)のように、主人公が女装したり、女の子に変身しちゃう作品も増えてきた。それに、乙男やスイーツ男子など、女の子の趣味や女の子が好きだったものを男の子も好きになってきている。だからこそ、女子に共感できる人も増えてきているのかもしれない。それに、この作品ではがっつり百合ではなく安達がしまむらのことを「母や姉のような」存在として好きになるのだ。そんなふうに、思春期の頃の同性に憧れてしまう感情は男子にも共感できるのでは?

 また『ジョシコーセーの成分。SCHOOL GIRL OVERFLOW』では、ガールズトークのような特に何があるわけでもないたわいもない話をしている。主人公の美樹本花鈴は入学式で大遅刻をし、ちょっと周りから浮いてしまった子。基本的には彼女の視点から、クラスメイトの様子を見ていく。ここで繰り広げられるガールズトークは、男子の思い浮かべるような意味もないふわふわした綺麗なものだし、花鈴も浮いているといってもいじめられているわけではない。でも、この作品は地の文をポエム調にしたり、ときどき視点を変えて話が進むので、本当に女子高生の頭の中をのぞき見している感覚になる。これを読めば、男子でもキラキラした女子高生の時間を感じることができるはず。

 そして、『けいおん!』や『ゆるゆり』のような日常系の作品ではないが、『ストライクウィッチーズ』や『ガールズ&パンツァー』のように、戦う女の子もののマンガやアニメも増えてきた。そこで、その流れを組んだ『紅ヴァンパ ようこそ紅浪漫社へ』のような、バトルものも出てきたのだろう。この作品は、主人公の香奈やクラスメートの優花里が獣人と呼ばれる毛むくじゃらの生物と戦いながら、自らも新人類として覚醒していくといったお話。女の子に“戦う”という要素をプラスしたことで、日常系のようにただ会話するだけの話にしなかった。それに、戦う強い女の子の魅力も堪能できる。それに、獣人と激しい銃撃戦を繰り広げたり、人間が理性を失っていく姿など、設定やバトルシーンは重いのに登場するのが女の子だけなので、そこまでグロく感じない。戦いの最中でも「無理! あたし、自分が方向音痴だって自信持って言えるから!」とか、「来ないでぇ~~~~っ!」なんて叫んだり、女の子独特のゆる~い会話を繰り広げるので、それが緊張感を和らげているのかも。

 やっぱり、女の子が集まって何かをしているだけでかわいく見えるもの。女の子にモテたいというより、かわいい女の子たちを見ていたい。だから、もはやハーレムものの主人公である男の子も必要としなくなってきているのかも? こんなふうに、単なる日常系や百合だけじゃない女の子だけのラノベが続々と登場してきているが、リアルの男子が草食化、乙女化していく限り、今後もどんどん増えていくのかもしれない。