本のソムリエ・書店員オススメの“決別を乗り越える本”

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 毎日膨大な量の本に接し、本の知識なら誰にも負けない“本のソムリエ”としてとっても頼りになる書店員さん。そこで今回は、紀伊國屋書店 名古屋空港店で文庫を担当している山崎蓮代さんに、“決別を乗り越える本”5冊をセレクトしてもらった。

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新ドラキュラ 不死者』(上・下) デイカー・ストーカー、イアン・ホルト/著 番 由美子/訳 MF文庫ダ・ヴィンチ 各650円
俳優を志す男が過去の出来事と自らの出生の秘密を解明した時、人生最大の難関を突きつけられる……。あの名作が21世紀に再登場。しかも著者は原作者の子孫。ドラキュラのイメージが一変します!

くまとやまねこ』 湯本香樹実/文 酒井駒子/絵 河出書房新社  1365円
大切な友・ことりの亡骸を納めた小箱を手に、外の世界とのつながりを絶ったくま。やまねこはくまが欲しかった言葉を与えてくれました。哀しみに無理やり決着をつける必要はないと教えてくれる作品。

リストラなう!』 綿貫智人 新潮社  1365円
期待に胸を膨らませた新社会人におすすめしていいものか迷いますが、こんな一冊を。企業に属することの意味、そして会社と折り合いをつけるには勇気と決断が必要だということを心に刻んでください。

こんこんさま』 中脇初枝 河出文庫  609円
子供の頃、秘密基地は大切な空間だった。でもそれは“帰るうち”があったから。幼い少女・さちの望みは家族が幸せになること。さちの必死の思いは、役割分担を忘れた家族にどう届いたのでしょうか。

約束の森』 沢木冬吾 角川書店  1995円
わんこ好きにはたまらん一冊。慣れない“親父業”におろおろする侑也と、人間との信頼関係を取り戻そうとする誇り高き、元・警察犬マクナイト。「マクナイトぉ!」と思わず叫びたくなります。

(ダ・ヴィンチ5月号「本屋さんの時間 本のソムリエ」より)