ファッション、グルメ、恋愛まで! “ぽっちゃり女子”本がブーム

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

『la farfa』(ぶんか社)

 渡辺直美がカバーガールを務めた、日本初の“ぽっちゃり女子”のための本格ファッション誌『la farfa(ラ・ファーファ)』(ぶんか社)も創刊され、大きな話題になった。「ワンピース&チュニックのこなれた着こなし術」や「小顔に見えるメイク&ヘアアレ」「街のぽちゃカワさんをスナップしてきました」など、コンテンツも充実し早くも人気を博している。

 実は最近『la farfa』だけでなく、ぽっちゃり女子のための本が数々出版されているのだという。といっても、男子諸兄には、いまだぽっちゃり女子ブームにピンときてない方が多いのかもしれない。そこで今回は、さまざまなぽっちゃり女子本の中身を覗き見して、ぽっちゃり女子ブームへの理解を深めていきたいと思う。

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 まずは、ぽっちゃり女子の恋愛指南書として上げられるのが、この1冊。その名も『ありのままでいいんだよ! ―あなたが素敵な男性をひきつけて、恋愛上手になっちゃう方法』(羽林由鶴/主婦の友社)。この本は、体重103kgという、もうぽっちゃりを超越しているだろうと思われる筆者(ちなみに彼女は13歳年下の東京大学卒のパートナーからプロポーズされたという)が、さまざまな恋愛相談を通じて、「誰でも永遠の最愛パートナーを見つけて幸せになっちゃう方法」を教えてくれちゃうというもの。第1章では「昔からずっと太っていて…。誰ともつきあったことがありません」という相談に応じていて、これには「じつは男性はやせてる女性を好むわけじゃないの 女性らしい体型は魅力のひとつなのよ」と話しながら、体型などにとらわれない、オンリーワンな愛され方を見つけようと励ましている。この本からは、ぽっちゃり女子の持つコンプレックスや、体型に対する思いが見てとれるので、ぽっちゃり女子への理解を深める第一歩としては外せない本だろう。

 また、その理解をさらに深める本としては『ぽっちゃり女子のときめきDays』(いしいまき/メディアファクトリー)があげられるだろう。156cm×73kgという、ぽっちゃりの筆者によるコミックエッセイで、その中身はぽっちゃり女子のあるあるが満載だ。曰く、お菓子の三角食べ最高といったものや、レギンスは、ぽっちゃり女子の救世主といったもの、好きになるのは骨っぽい人というところまで描かれている。なかでも、好きなお菓子の紹介はすさまじい執念を感じるほどで、「源氏パイ」は外の皮を口の中でペリペリはがすのが好き、「ブルボン ブランチュール」には、角のはみでたチョコに幸せを感じる、「月餅」はあんこ、くるみ、ごまの見事な三位一体、などなど事細かな感想が描かれている。極めつけは「ポテチを食べた後、コーラの炭酸でのどをいじめるのが好き」という、そら太るわと思わせてくれるようなことも。

 もちろん、ファッションについても押さえておいたほうがいい、『自分で作るぽっちゃりさんのかわいい服―体型をカバーできるフリーサイズの服』(ブティック社)なんて、自分の体型に合う服がないなら作ればいいんだよ! という発想の転換が形になったかのような本で、ローウエストのジャンパースカートやお尻カバーのバルーンスカートなどのゆったり服の作り方が、型紙付きで紹介されている。また『ヨコモリミナコの図解着やせマジック! あっという間に服でやせる!』(横森美奈子/小学館)なんてものもある。やせるんじゃなくて、着やせしようとしているという、これもまたぽっちゃり女子の発想の転換のなせる技だろう。努力の方向が間違ってなくもないが、これはこれで、ぽっちゃり女子の心理を表しているのかもしれない。

 やっぱり気になるのがぽっちゃり女子のダイエット法。これは『スリム美人の生活習慣をマネしたら 1年間で30キロ痩せました』(わたなべぽん/メディアファクトリー)なんて本がある。165cm×95kgで、数々のダイエットに失敗してきた筆者が「美人のマネしたら、やせるんじゃね」という考えを実践。それが見事に功をなし、大幅なダイエットに成功できたということが描かれたコミックエッセイだ。筆者が実践したのは「美人生活7ヵ条」というもので、どんなものかといえば「美人はおなかが空いたら好きなものを楽しんで食べ 満たされたら食すのをやめるべし」「美人は適度な運動を日課にすべし」「行動に迷ったら 美人だったらどうするかを考えるべし」などが書かれている。これだけでも、やっぱり、スリム美人に憧れているんだなあとシミジミできるとともに、ぽっちゃり女子とスリム美人にどれだけ生活に差があるのかが、わかってしまう。

 いかがだっただろうか。今、「ぽっちゃり女子」の世界を垣間見ることができたのではないだろうか。そう、世の中は、やせてる女性だけではないのだ。そのことを肝に銘じて、そしてできるなら、これらの本を読んで、ぽっちゃり女子に対する偏見などをなくして、やさしく接してあげてほしい。