有川浩がツアコンに!? 『県庁おもてなし課』舞台の高知を巡る旅

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

5月11日、錦戸亮&堀北真希のW主演で公開される映画『県庁おもてなし課』。原作は、高知県観光特使も務める作家・有川浩の同名小説で、自身が特使を依頼されたことをきっかけに生まれた、史上初の“恋する観光小説” だ。その公開を記念して、発売中の『ダ・ヴィンチ』5月号ではなんと、有川浩みずからがツアーコンダクターとなり、1泊2日の高知観光をプロデュース。初夏には書籍化(追加取材ももちろん収録! メディアファクトリーより6月中旬刊行予定)も決定した、高知に行きたくなること請け合いの観光レポートが掲載されている。そこから一部を抜粋して紹介しよう。

「では、出発します!」。朝9時15分、青空にこだまする有川さんの力強い一声で、高知龍馬空港を出発。ハイエースの観光タクシーのドライバーは伊東則男さんだ。高知は、山が海に迫り平地が少ない地形の険しさゆえに鉄道網が発達しておらず、観光地巡りには熟練したドライバーの腕を頼りにしたい。有川さんは映画『県庁おもてなし課』のシナリオロケハンツアーで伊東さんと出会い、すっかり惚れ込んだのだという。再会を喜ぶのもつかの間、ふたりは今回のツアールートについて相談中。

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「旅行会社のツアーでは絶対行けない、ミステリーツアーになりますね。なぜかっていうと、私が思いつきで、ルートを変えちゃうんですよ。ドライバーさんも次はどこへ行くか知らない、という意味でミステリーです(笑)」

9時35分、赤岡漁港に到着。土佐の海産珍味として名高い、どろめ(イワシの稚魚=生のちりめんじゃこ)の漁に出ていた船が、ちょうど戻ってきたところだった。隣接する直売所・三浦屋にて、獲れたてのどろめと、早春しか食べられないのれそれ(アナゴの稚魚)をいただく。どろめを釜揚げすると、ちりめんに。その作業工程を見学しこちらも試食させていただくと、味が劇的に変化していて感激。「タコが入っている!」と、一緒に茹でられピンク色になったミニタコを見つける有川さん。

「高知にやって来て一番最初に寄るのは、赤岡か桂浜のどちらかがいいと思いますね。海は朝攻める! 午後よりも圧倒的に綺麗なんです」

途中でコンビニに寄り、高知県民の「ソウルドリンク」、ひまわり乳業のリープル(84円)を購入。午前10時35分、手結(てい)トンネル近くの峠の茶屋「澤餅茶屋」で、お茶屋餅(10個入り600円)をどっさり購入。天保8(1837)年創業の伝統の味は、有川さんいわく「日本でいちばんおいしいお餅」。

10時45分、海の公園「ヤ・シィパーク」に到着。ここまでの道のりでゲットした食べ物をずらっと並べ、試食会を開催するという有川さん流の演出だ。伊東さんが追加で、土佐文旦(皮がぶ厚い高知名物の柑橘類)を食べやすく剥いて差し入れてくれた。どろめ&のれそれは、有川さん持参のぽん酢とゆず果汁で。ニッキの香りがおいしいお餅、乳酸菌飲料なのにスキッとしたリープル、果肉がぷりっぷりの土佐文旦。口の中にさわやかさが積み重なって、最高でした。

琴ヶ浜を右手に臨み、海沿いの道を進む。11時45分、産直販売所・安芸(あき)駅ぢばさん市場に到着。ここは鉄道直結の市場、いわゆる「道の駅」だ。「ぼうしパン」「本日のイノシシ肉」「桂浜の五色の石」など、他県ではお目にかかれない品々がずらーっと並ぶ。「これはここでしか食べられない! って思うと、楽しいですよね。旅の記憶は、食べ物の記憶だったりもしますから」。なるほど!!

12時10分。住宅地にぽこっと現れた、伊尾木洞の入口に到着。有川さんが先陣を切って、奥へ奥へ。不安定な足場を数十メートルほど進んだ先には……。

同誌では、4ページにわたり高知の魅力をレポート。もちろん写真も風景から名産品までたっぷり掲載されている。

取材・文=吉田大助
(『ダ・ヴィンチ』5月号「有川浩大特集」より)