声優・池澤春菜もハマった“執事モノ”「ジーヴス・シリーズ」、5月15日にドラマDVDがいよいよ日本上陸!

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更新日:2013/8/13

「ジーヴス」の絶対に誰も不幸にならない、底抜けに明るいストーリーって
ちょっと疲れたときにどうしても読みたくなるんです

 ドラマ化された『謎解きはディナーのあとで』をはじめ、今や日本で定番の人気ジャンルとなった“執事モノ”だが、イギリスに、執事の世界的な代名詞と呼ばれる男がいるのをご存じだろうか? 

 その名もジーヴス。イギリスの大ユーモア作家、P・G・ウッドハウスが生み出した最強の天才執事である。 彼の主人はお気楽で典型的にダメなボンボン、バーティー・ウースター。二人の織りなす抱腹絶倒のコメディ小説「ジーヴス・シリーズ」は、イギリスでは名探偵ホームズ&ワトソン博士と並び称されるほどの人気だ。そして今、イギリスで放送された実写ドラマ版がついに日本に上陸する。

 そこで今回、原作小説のファンだという声優・池澤春菜さんにその魅力をうかがった。

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池澤春菜

池澤 春菜
いけざわ・はるな●1975年12月15日生まれ。声優、女優、エッセイスト。ギリシャ・アテネ生まれ、神奈川県川崎市育ち。小説・詩作家、翻訳家の池澤夏樹は父。福永武彦は祖父。キャリアカウンセラー、ギリシャ料理研究家の池澤ショーエンバウム直美は母。代表作に『クレヨンしんちゃん』(キャサリン役)、『ONE PIECE』(ケイミー役)『ドラえもん』(スージー役)など。雑誌『Mac Fan』や『本の雑誌』で連載中。日本SF作家クラブ会員

池澤:このシリーズって、絶対に誰も不幸にならないんですよね。悪人は一人も出てこないし、どこまでいってもウッドハウス自身の「人生ってこんなに楽しくて幸せなものなんだよ」っていう底抜けに明るい姿勢が透徹している。だから、ちょっと疲れちゃったときや、人の悪意に触れちゃったりしたときには、どうしてもウッドハウスが読みたくなるんです。

 そして、キャラクターがすごく魅力的ですよね。ジーヴスとバーティーはもちろん、ガッシーやビンゴといった、ドローンズ・クラブに集まる友達連中の駄目さ加減といったら! おじさま・おばさま勢もツワモノ揃いで大好きです。

――そんな彼らが実写となったドラマを、ご覧になった印象はいかがでしたか。

池澤:ジーヴスが、かなり目で語る人だったのは意外でした。泰然として物事に動じないイメージだったので、あんなふうに「ご主人様、私は賛成しかねますよ」っていう感情を如実に表情に表していたのかと。表情といえば、バーティーの顔芸もすごかったですね。冒頭の、朝のおめざ(※ジーヴス特製の二日酔いに100%効くスペシャルドリンク。何が調合されているかは謎)を飲むシーンも、その凄まじさを表現するのにあの顔芸一本で乗り切るとは!

池澤春菜

――他に、ドラマで印象的だった場面はありますか?

池澤:作品の世界観が文字よりもリアルに迫ってきて、「あぁ、こういう世界に彼らは生きているんだ」と体感できたのは嬉しかったです。バーティーが住むフラットが意外とモダンなとか、だけど田舎の荘園屋敷はまだまだ古いものが残っているんだな、とか。時代考証も美術設定もしっかりなされているので、調度品や食事、それから洋服もそれぞれのキャラクターにぴったりあうものばかりで、そういう細部の描写はドラマならではのお楽しみですよね。何度もDVDを巻き戻してチェックしちゃいました。

――シリーズ未読の方には、ドラマと原作、どちらを先に手に取るのがおすすめですか?

池澤:そうですねえ、あの顔芸たっぷりのジーヴスを観たあとに小説を読んだら、どんなふうに感じるのかを聞いてみたい気も(笑)。でも、どちらからにせよ、DVDと本の世界を交互に体験していくとどっぷりハマっていくと思います。

 原作は短編も多いし、さらっと読めてしまうんですけど、一つひとつのお話の密度はすごく濃い。たとえるなら、すごくおいしい小粒のチョコレートがたくさん入っているコレクションボックスみたいな感じですね。味も全部違って楽しめて、疲れたときには一粒つまんで「あぁ、おいしかった! よし頑張ろう!」って思えるような。読み始めたら夢中になると思うので、最初の1ページをぜひ開いてみてほしいです。

比類なきジーヴス

『比類なきジーヴス』

P・G・ウッドハウス:著、森村たまき:訳/国書刊行会/2100円

英国の国民的作家ウッドハウスの傑作小説。ぐうたらでダメ男の若旦那バーティーと、天才執事ジーヴスの名コンビが、オマヌケな友人たちと繰り広げる抱腹絶倒の人間喜劇。
※「ジーヴス・シリーズ」をすべておさめた<ウッドハウス・コレクション>は全14冊刊行 ⇒<ウッドハウス・コレクション>はこちら(国書刊行会のサイトへ)