ティラノサウルスのエサは生きた牛!? これで恐竜を飼える!?

科学

更新日:2013/4/22

 ティラノサウルスにトリケラトプス、スピノサウルスにプテラノドン。もしも『ジュラシックパーク』に出てくるような恐竜たちを飼うことができたら……。そんなありえないけど楽しい「もしも」に真面目に向き合って作られた本が、3月19日発売の『「もしも?」の図鑑 恐竜の飼い方』(土屋 健:著、群馬県立自然史博物館:監修/実業之日本社)だ。

 この図鑑には149種類もの恐竜が載っており、名前と見た目や生態についての特徴、飼いやすさも星で示されていて、もっとも飼いやすいものは星10個で表されている。さらに、飼い方のアドバイスではエサは何をあげればいいかや飼うために必要な設備。健康チェックのポイントやしつけの仕方なども紹介されているのだ。

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 では、もっとも有名な恐竜とも言えるティラノサウルスは、どうやって飼えばいいのだろう。まず、半端な柵では体当たりでへし折られてしまうので、とにかく「広いスペースと太い鉄さく」が必要なんだそう。おまけに、ストレス解消のためにエサは生きたウシなどを与えて狩りをさせろと言うのだ。10代で急成長し、1年で760kg以上大きくなるというティラノサウルスを飼うには、設備だけでなくいろんな意味でそうとうな覚悟が必要。エサ代だけでもとんでもないことになりそうだが、「最も危険な肉食恐竜です」と書かれたティラノサウルスでさえ、その飼いやすさは星3つ。なんと、この凶暴なティラノサウルスよりも飼うのが難しい恐竜がいるというのだ。

 それが、飼いやすさ星1つ。最大級の翼竜と言われるケツァルコアトルスと海のオオトカゲと呼ばれたモササウルスだ。どれだけ凶暴なのかと思いきや、ケツァルコアトスの方は翼を開くと12mにもおよぶ巨大な体格のわりに「人間をさらうことはしません(できません)」と書かれているのでそんなに凶暴なわけではないようだ。では、なぜ飼いにくいのかというとほとんどの時間を飛んで過ごすことを好むというケツァルコアトルス。このケツァルコアトルスが飛ぶには、常に上昇気流が発生している場所でなければならないから。確かに、飛び回るのが大好きなケツァルコアトルスを飼い慣らすのはなかなか難しそうだ。一方、モササウルスは「ときにはカメでさえ、こうらごと」食べてしまうという本当に凶暴なもの。おまけに、体長も大きなものでは17mを超えるというから、それが自由に泳げる水槽を用意できるのはかなりのお金持ちだけだろう。

 逆に、星10個のもっとも飼いやすい恐竜はオヴィラプトル。全長は2mくらいで、クチバシと羽をもつ雑食の恐竜なのだが、現在の鳥類と同じように巣を作って卵を温めながら子育てするよう。他にも、4枚の翼を持っていたミクロラプトルや知能が高く昆虫などをエサにするヘスペロニクス、現代の鳥類そっくりの姿で寝るというメイなど、比較的小型で鳥のような姿の恐竜たちは飼いやすいようだ。なかには、見た目はそれほど鳥っぽくもないし体長も9mで小型と呼べるサイズではないのに、ティラノサウルスのエサ用に飼育することを推奨されてしまっているエドモントサウルスなんてものも。

 また、ティラノサウルスは鎖骨が折れやすく、ティラノサウルスの仲間であるディロンはアゴが小さいので、歯の健康を保つために固めのガムを与えるといいといった飼育上の注意点。クリプトプスは他の大型肉食恐竜の食べ残しをきれいにたいらげてくれるので、一緒に飼育した方が掃除をするのが楽といった使える(?)豆知識まで!
エサや飼育場、飼育するための注意点まで書かれているので「もしも恐竜を飼えたら……」という妄想は膨らむ。みなさんなら、どの恐竜を飼ってみたい?