こんなもので事件が解決!? 細かすぎる刑事が人気!

マンガ

更新日:2013/4/25

 テレビドラマ不調のいま、『相棒』(テレビ朝日)をはじめとする刑事ドラマは根強い人気で高視聴率も期待できる貴重なジャンル。今クールも各局数々の刑事ドラマがラインナップされている。刑事ものが増えすぎているせいか、天気の知識で謎を解く『お天気お姉さん』(テレビ朝日)や、B級グルメについて熱く語りまくる『めしばな刑事タチバナ』(テレビ東京)、ずば抜けた観察力とデブならではの愛嬌を武器に刑事・花沢太郎が活躍する『刑事110キロ』(テレビ朝日)、物理学で事件を解決する『ガリレオ』(フジテレビ)……と、個性豊かというか、細かすぎるというか、ピンポイントな武器をもつ刑事がたくさん登場している。そして、マンガでも「そんなピンポイントの知識で!?」と驚くような細かすぎる刑事ものが人気なのだ。

 まずひとつ目は、道端に生えている雑草。それをもとに謎を解くのが、3月16日に発売された『ザッソウ 元植物学者・園田チカの捜査』(鈴木あつむ/芳文社)の園田チカだ。刑事のくせにオレオレ詐欺に引っかかり、死体を見れば吐いてしまうし、事情聴取をすれば感情移入しすぎて号泣。そんなダメダメ刑事の彼女だが、植物に関する知識はピカイチ。オオバコは人がよく通る場所ほど増えるという特性から、庭に生えたオオバコを観察して3兄弟の中から祖母を殺した犯人を見つけたり、彼岸花で行方不明になった女性を探し出す。さらに、オナモミが盗撮の証拠になったり、殺人現場に大量のハゼノキが生えていたことから犯人として捕まってしまった親友の無実を証明したりもするのだ。普段はまったく意識しないし、その辺の道端に生えている雑草がこんなに多くの手掛かりを持っているなんてびっくり。

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 また、刑事ではないが『お天気お姉さん』のお天気キャスター・安倍晴子や『ガリレオ』の物理学准教授・湯川学のように捜査に協力してくれるのが『家電探偵は静かに嗤う。』(藤見泰高:著、岩澤紫麗:イラスト/秋田書店)の家山電。彼の武器は家電の知識。家電の修理屋をしている彼は、修理に出したパソコンから職業を見抜いただけでなく、その惨状からかなり頻繁に家電を修理に出していると判断。そこから修理履歴を検索して名前を言い当て、さらに修理に出されていた家電の種類やサイズからひとり暮らしで冷凍食品ばから食べているということまで見抜いてしまうのだ。また、IHヒーターで天ぷらを作っているときに発火して人が焼け死んだときは、それが念入りに仕組まれた計画殺人であることを見事に証明。外国人連続強盗団を捕まえるときには家電サービスマンの情報網を駆使して次のターゲットになりそうな家を探し出すし、ストーカーが利用しているGPS機能を逆手にとって相手を誘き出したりもする。家電を見ただけでこんなことまで見抜かれてしまうとなると、家電屋がちょっぴり怖くなるかも。

 そして、切手を手掛かりに事件を解決する刑事もいる。それが『キッテデカ』(寺沢大介:著、高橋遠州:企画・原案/小学館)の前島郵雅だ。彼は勤務中でも切手の整理をしていたり、記念切手を買いに郵便局へ行ってしまうようなお気楽な刑事。でも、切手に関わる事件なら途端にやる気を発揮するのだ。たとえば、誘拐された男性が落としていた「月に雁」の切手。歌川広重の『月に雁』をもとにしたもので、それを手掛かりに男性が障害者団体に関係のある人物だと見抜き、犯人と被害者を見つけ出す。前島の知識は、切手そのものだけにとどまらなず、著作権や埼玉県における東京都の飛び地など、一見切手とは関係なさそうなことにまで及ぶ。著作権については、サンフランシスコ講和条約が発効された昭和27年4月28日が、GHQの検閲なしで自由に切手を作れるようになった「日本の切手にとって大きな節目の日」だったので、この条約の「著作権保護期間の戦時加算」についても勉強していたから。また、飛び地についてもたまたま通りかかった郵便配達のバイクを見て気づいたんだとか。切手に関わる事件なんてそうそうないだろうと思っていたが、こんなふうに切手に関係するほかのことにも詳しくなれたら多少は事件解決にも役立つはず。

 こんなふうに、あらゆる分野に登場する細かすぎる刑事たち。今後はいったいどんな細かい知識をもった刑事が登場するのだろうか、その細かさに注目したい。